心房細動の早期発症関連遺伝子を特定/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2018/12/20

 

 タイチン(TTN)遺伝子の機能喪失型変異(LOF)と、早期発症心房細動の関連が、症例対照試験で確認された。早期発症心房細動患者のうちTTN LOFが認められた人の割合は、対照群の1.76~2.16倍で、発症年齢が30歳未満群の同倍率は5.94倍だった。米国・The Broad Institute of MIT and HarvardのSeung Hoan Choi氏らが、国立心肺血液研究所(NHLBI)のTrans-Omics for Precision Medicine(TOPMed)プログラムの全ゲノムシークエンスデータを基に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2018年12月11日号で発表した。著者は、「さらなる研究を行い、因果関係があることなのかを明らかにする必要がある」とまとめている。心房細動は、集団の1%に認められる、よくみられる不整脈である。心房細動を有する若年者は、疾患に関連した遺伝子の関与が強いとされるが、そのメカニズムは完全には明らかになっていないという。

症例群約2,800例と対照群約5,000例を対象に試験
 TOPMedプログラムでは2014~17年に、米国、メキシコ、プエルトリコ、コスタリカ、バルバドス、サモアの1万8,526例について、全ゲノムシークエンスを行った。

 今回Choi氏らの研究グループは、同プログラムの全ゲノムシークエンスデータを基に症例対照試験を行い、心房細動遺伝子座におけるLOF変異と、全ゲノム内の共通する遺伝子変異を調べ、早期発症心房細動の発症との関連を評価した。

 分析の対象としたのは、9試験で特定した早期発症心房細動の患者2,781例と、その対照群としてヨーロッパ系のTOPMedプログラム参加者4,959例だった。

 分析の結果は、UK Biobank(参加者数34万6,546例)とMyCode試験(4万2,782例)で再現した。

 主要評価項目は、66歳未満の早期発症心房細動の発症とした。試験が複数のため、レアバリアント解析に関する有意性の閾値はp=4.55×10-3とした。

TTN LOF保有率、症例群2.1%、対照群1.1%
 早期発症心房細動を発症した2,781例は、男性72.1%、平均年齢は48.7歳(標準偏差:10.2)だった。全ゲノムシークエンスの平均深度は37.8倍で、平均カバー率は99.1%だった。

 TTN LOFが1つ以上認められた人の割合は、対照群1.1%に対し、症例群は2.1%だった(オッズ比[OR]:1.76、95%信頼区間[CI]:1.04~2.97)。

 早期発症心房細動患者のうちTTN LOFを持つ人の割合は、発症年齢が低いほど高率だった(傾向p=4.92×10-4)。発症年齢が30歳未満の群では、TTN LOFキャリアの割合は6.5%だった(OR:5.94倍、95%CI:2.64~13.35、p=1.65×10-5)。

 TTN LOFと早期発症心房細動との関連については、MyCode試験における1,582例の症例群と対照群4万1,200例で、再現性が確認された(OR:2.16、95%CI:1.19~3.92、p=0.01)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)