セマグルチド 、非糖尿病肥満の減量に有効/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2018/09/03

 

 非糖尿病の肥満者(BMI 30以上)に対し、食事および運動療法に加えたセマグルチドの投与は、体重減少に有効かつ安全であることが示された。米国・サウスカロライナ医科大学のPatrick M. O’Neil氏らによる、リラグルチドおよびプラセボと比較した52週間にわたる第II相の無作為化二重盲検用量範囲探索試験の結果で、Lancet誌2018年8月25日号で発表された。肥満は、重大な公衆衛生上の問題となっており、体重管理のための新たな医薬品が求められていた。研究グループは、減量推奨時にGLP-1アナログ製剤セマグルチドを投与する有効性と安全性について、リラグルチドおよびプラセボと比較する検討を行った。

リラグルチド、プラセボと比較する用量範囲探索無作為化試験
 試験は、8ヵ国71施設(オーストラリア5、ベルギー5、カナダ9、ドイツ6、イスラエル7、ロシア10、英国8、米国21)で、18歳以上、非糖尿病、BMI 30以上の参加者を集めて行われた。

 被験者を無作為に6対1の割合で、試験薬群(セマグルチド:5群、リラグルチド:1群)と適合プラセボ群に割り付けられた。具体的に、セマグルチド群には0.05mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mgの5用量(いずれも0.05mg/日で開始し4週間ごとに漸増)、リラグルチド群には3.0mg(0.6mg/日で開始し0.6mg/週で漸増)の投与(プラセボを含めすべて1日1回の皮下注)が行われた。被験者および研究者は、割り付けられた試験治療(試験薬かプラセボか)についてはマスキングされたが、目標用量については知らされていた。

 主要エンドポイントは、52週時点の体重減少割合。主要解析は、プラセボプールから派生した喪失データを含めintention-to-treat ANCOVA評価を用いて行われた。

セマグルチド投与の有意な体重減少効果を確認
 2015年10月1日~2016年2月11日に957例が無作為化を受けた(試験薬が投与された6群はそれぞれ102または103例、プラセボ群136例)。ベースライン特性(平均値)は、年齢47歳、体重111.5kg、BMI 39.3であった。

 52週時点の体重データは、891/957例(93%)で入手できた。解析の結果、推定体重減少割合は、プラセボ群が-2.3%に対し、セマグルチド0.05mg群:-6.0%、0.1mg群:-8.6%、0.2mg群:-11.6%、0.3mg群:-11.2%、0.4mg群:-13.8%と、セマグルチド全用量群で、プラセボ群と比較して有意な効果が認められ(補正前p≦0.0010)、多重検定による補正後も有意なままであった(p≦0.0055)。

 リラグルチド群の体重減少割合は-7.8%で、セマグルチド2.0mg以上の用量群(-13.8~-11.6%)で有意な差が認められた。

 10%以上の体重減少が認められた被験者の割合は、プラセボ群で10%であったのに対し、セマグルチド0.1mg以上の用量群では37~65%と有意に多かった(対プラセボp<0.0001)。

 セマグルチドの全用量群で概して忍容性は良好であり、新たな安全性の問題は報告されなかった。共通してみられた最も頻度の高い有害事象は、GLP-1受容体作動薬で既知の、用量に関連した消化器症状(主に悪心)であった。

(ケアネット)