CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

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 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。

主観的評価と代謝マーカー測定値の予測分類を比較
 検討は、25病院(カナダ5、英国7、オーストラリア10、ニュージーランド3)で、心臓以外の大手術を予定しており、1つ以上の心臓合併症リスク(心不全、脳卒中、糖尿病の既往など)または冠動脈疾患があるとみなされた40歳以上の成人患者を対象に行われた。

 被験者の運動耐容能は、術前評価クリニックで信頼できる麻酔科医によって、代謝当量(metabolic equivalents)の単位で評価・分類された(<4:不良、4~10:中等度、>10:良好)。また、質問票に基づくDASIスコア、CPETでの最大酸素摂取量、血液検査による血漿NT pro-BNP値の測定も行われた。手術後には、術後3日間または退院までの連日、心電図および血液検査によるトロポニン値とクレアチニン値の測定が行われた。

 主要アウトカムは、術後30日間の死亡または心筋梗塞の発生で、CPETと手術の両方を受けた全患者について評価した。予後の精度はロジスティック回帰法、ROC曲線、およびネットリスク再分類を用いて評価した。

DASIスコアの評価が有用
 2013年3月1日~2016年3月25日に、CPETと手術を受けた1,401例が試験に包含された。年齢中央値は65歳(IQR:57~72)、女性は39%、91%がAmerican Society of Anesthesiologists Physical Status(ASA-PS)分類でClass 2または3であり、大半が主要な腹部、骨盤領域または整形外科の手術を受けた患者であった。

 術後30日間に死亡または心筋梗塞を発症した患者は28/1,401例(2%)であった。

 CPETで運動耐容能が不良(代謝当量<4)と識別された患者について、主観的評価による識別の感度は19.2%(95%信頼区間[CI]:14.2~25)、特異度は94.7%(93.2~95.9)であった。

 1,401例のうち、DASIスコアの評価を完了していたのは1,396例(99.6%)であったが、同スコアのみが、主要アウトカムを有意に予測した(補正後オッズ比:0.96、95%CI:0.83~0.99、p=0.03)。

 著者は、「臨床医にとって心臓に関するリスクアセスメントでは、DASIなどが客観的指標として代替できるだろう」と述べている。

(ケアネット)

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そもそも術前リスク評価をどう考えるべきか(解説:野間重孝 氏)-891

コメンテーター : 野間 重孝( のま しげたか ) 氏

栃木県済生会宇都宮病院 副院長

J-CLEAR評議員

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