軽症喘息へのSMART療法 vs.ブデソニド維持療法/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/25

 

 軽症喘息患者に対する52週間の治療において、ブデソニド・ホルモテロール配合剤(商品名:シムビコート)の頓用はブデソニド維持療法(1日2回投与)と比較し、重症喘息増悪の発生という点では非劣性が認められたが、症状の改善は劣っていた。ただし、ブデソニド・ホルモテロール頓用患者では吸入ステロイド薬(ICS)の使用量がブデソニド維持療法患者の約4分の1であった。南アフリカ・ケープタウン大学のEric D. Bateman氏らが、軽症喘息患者を対象とした多施設共同無作為化二重盲検第III相試験「Symbicort Given as Needed in Mild Asthma 2(SYGMA2)」試験の結果を報告した。軽症喘息患者は、発作時に短時間作用性β2刺激薬(SABA)の吸入を用いることが多く、ICS維持療法のアドヒアランスは不良である。即効性吸入β2刺激薬+ICSの頓用は、こうした患者の症状改善や増悪リスクに対する新たな治療法となる可能性があった。NEJM誌2018年5月17日号掲載の報告。

25ヵ国354施設の軽症喘息患者約4,200例で重症増悪発生率を評価
 研究グループは、2014年11月~2017年8月に、日常的なICS定期投与の適応がある12歳以上の軽症喘息患者4,215例を、ブデソニド・ホルモテロール頓用群(プラセボ1日2回投与+ブデソニド・ホルモテロール[ブデソニド200μg、ホルモテロール6μg]頓用)(2,089例)と、ブデソニド維持療法群(ブデソニド200μg1日2回投与+テルブタリン0.5mg頓用)(2,087例)に無作為に割り付け、52週間治療を行った。

 主要評価項目は、重症喘息増悪の年間発生率で、ブデソニド・ホルモテロール頓用群のブデソニド維持療法群に対する非劣性マージンは1.2と規定した。副次評価項目として、喘息症状に関し、5項目の喘息管理質問票(Asthma Control Questionnaire-5:ACQ-5、0点[障害なし]~6点[最大の障害])で評価した。

重症増悪発生率は非劣性、症状コントロールは劣性
 重症増悪の年間発生率は、ブデソニド・ホルモテロール頓用群0.11(95%信頼区間[CI]:0.10~0.13)、ブデソニド維持療法群0.12(95%CI 0.10~0.14)であり、ブデソニド・ホルモテロール頓用群は重症増悪という点ではブデソニド維持療法に対して非劣性であることが認められた(率比:0.97、95%信頼上限1.16)。

 ICSの1日使用量の中央値は、ブデソニド・ホルモテロール頓用群(66μg)が、ブデソニド維持療法群(267μg)よりも低値であった。初回増悪までの期間は、両群で類似していた(ハザード比:0.96、95%CI:0.78~1.17)。ACQ-5のベースラインからの改善は、ブデソニド維持療法のほうが優れていた(群間差:0.11、95%CI:0.07~0.15)。

(医学ライター 吉尾 幸恵)