細気管支炎乳児には高流量酸素療法が有用/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2018/03/30

 

 集中治療室(ICU)以外で治療された細気管支炎乳児において、鼻カニューレを用いた高流量酸素療法(ネーザルハイフロー:NHF)は、標準酸素療法と比較すると、治療失敗による治療の段階的な増強を要する割合が有意に低下した。オーストラリア・Lady Cilento Children’s HospitalのDonna Franklin氏らが、細気管支炎乳児を対象とした多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。NHFは、有効性に関する質の高いエビデンスが限られているものの、細気管支炎乳児での使用が増加しているという。ICU以外におけるNHFの有効性は不明であった。NEJM誌2018年3月22日号掲載の報告。

細気管支炎乳児約1,600例で、NHFと標準酸素療法を比較
 研究グループは、オーストラリアおよびニュージーランドの、3次救急および地域病院17施設における救急診療部および小児入院病棟にて無作為化比較試験を実施した。対象は、酸素療法を必要とする細気管支炎の月齢12ヵ月未満乳児で、1,638例をNHF群と標準療法群に無作為に割り付けた。

 NHF群では、流量2L/kg/分、酸素飽和度92~98%(施設によっては94~98%)を維持、標準療法群では、最大流量2L/分、酸素飽和度92~98%(施設によっては94~98%)を維持するよう、酸素を補給した。また、標準療法群では、治療失敗の基準を満たした場合はレスキューNHFを受けられることとした。

 主要評価項目は、治療失敗(持続的頻脈、頻呼吸、低酸素血症および早期警告ツールで発せられた医学的所見、の4つのうち3つ以上を満たすことと定義)による治療の段階的な増強(呼吸補助の増加、またはICU入室)、副次評価項目はICU入室率(参加病院のICU入室、3次救急病院へ転院しICU入室を含む)、入院期間、ICU入室期間、酸素療法期間、挿管率、有害事象の発現率などであった。

NHF群で治療失敗による治療の段階的な増強を要する患児が減少
 解析対象は1,472例で、治療の段階的な増強を要した患児の割合は、NHF群12%(87/739例)、標準療法群23%(167/733例)で、NHF群が有意に少なかった(リスク差:-11ポイント、95%信頼区間[CI]:-15~-7、p<0.001)。両群で入院期間や酸素療法期間に有意差はなかった。

 各群、気胸が1例(1%未満)発生した。標準療法群の治療失敗患児167例中102例(61%)はレスキューNHFが有効であったが、65例(39%)は無効のためICU入室となった。

 なお、著者は研究の限界として、酸素補給の方法を盲検化できなかったこと、標準療法群ではレスキューNHFが医師の選択肢として認められていたことなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)