小児の肥満予防、学校と家庭ベースの介入に効果みられず/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/02/21

 

 食事と身体活動をターゲットとして学校と家庭で行う介入は、小児の肥満予防に有効ではないことが、英国・バーミンガム大学のPeymane Adab氏らが実施したWAVES試験で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年2月7日号に掲載された。包括的な系統的レビューによれば、高所得国では、小児の肥満予防における学校ベースの介入の有効性が示唆されているが、個々の研究の介入の方法やアウトカムに異質性があるため、現時点では実臨床で推奨するには限界があるという。

WAVES介入の有効性をクラスター無作為化試験で評価
 研究グループは、小児の肥満予防における学校および家庭ベースの健康的生活様式プログラム(WAVES介入)の有効性を評価するクラスター無作為化試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]健康技術評価プログラムの助成による)。

 研究センターから35マイル以内にあるウェストミッドランド州の州立小学校980校のうち200校を無作為に選出した。54校の登録を目標に、適格基準を満たした144校に試験への参加を依頼した。

 参加校は、家庭と学校で、健康的な食事と身体活動を奨励する12ヵ月間の介入を行う群または介入を行わない対照群に、無作為に割り付けられた。介入の概要は以下のとおりであった。

 1)学校での毎日30分間の付加的な身体活動(教室または校庭で、中等度~激しい活動を1回5分以上)、2)地元のアストン・ヴィラ・フットボール・クラブとの連携による、双方向的な技能に基づく6週間のプログラム(親や担任の支援の下で、身体活動に関する3つのセッションと健康的な食事に関する2つのセッション)への参加、3)学校以外での身体活動や、家庭で活動的に過ごすアイデアなどに関する情報誌を、児童と親に向け6ヵ月ごとに発送、4)学期ごとに、学校が開催する健康的な食事の調理技術に関するワークショップへの参加。

 主要アウトカムは、15および30ヵ月後のBMIのzスコアであった。副次アウトカムには、そのほかの身体計測値、食事、身体活動、心理学的評価項目などが含まれた。

より広範な支援を要する可能性
 54校の児童1,392例が試験に参加した(介入群:26校、660例、対照群:28校、732例)。15ヵ月時には53校の1,249例(介入群:574例、対照群:675例)が、30ヵ月時には53校の1,145例(介入群:524例、対照群:621例)が解析の対象となった。

 ベースラインの全体の平均年齢は6.3歳(SD 0.3)、男児が51.1%であった。平均BMI zスコアは、介入群が0.23(SD 1.2)、対照群は0.15(SD 1.2)であった。

 ベースライン補正モデルでは、15ヵ月時の平均BMI zスコアの平均差は-0.075(95%信頼区間[CI]:-0.183~0.033、p=0.18)であり、両群間に有意差は認めなかった。また、30ヵ月時も、平均差は-0.027(95%CI:-0.137~0.083、p=0.63)であり、非有意のままであった。

 副次アウトカムのすべての項目についても、介入の有害性を含め、統計学的に有意な差はみられなかった。

 著者は、「多くの分野や環境を通じて、より広範な支援を取り込まなければ、学校という場では、この研究で導入した介入は小児の肥満の流行に影響を及ぼさない可能性がある」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

原著論文はこちら