がん5年生存率、世界3,700万例調査/Lancet

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ケアネット

がん5年生存率、世界3,700万例調査/Lancetのイメージ

 2015年、CONCORD-2プログラムは、世界のがんコントロール対策への情報提供に向け、医療システムの有効性の評価基準としての「がん生存率」に関して、世界的なサーベイランスを行うことを定めた。これを受けて、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のClaudia Allemani氏らCONCORDワーキンググループは、2014年までのがん生存率に関する最新データであるCONCORD-3の解析を行い、その結果をLancet誌オンライン版2018年1月30日号で報告した。

世界322件のがん登録の約3,750万例の5年生存率を推算
 CONCORD-3には、2000~14年の15年間にがんと診断された3,751万3,025例の記録が含まれる。データは、71の国と地域の322件の地域住民ベースのがん登録から提供され、そのうち47件は全住民を網羅している。この研究は、米国がん協会(ACS)、米国疾病管理予防センター(CDC)などの助成によって実施された。

 対象は、18のがんまたは腫瘍群であった(成人の食道、胃、結腸、直腸、肝、膵、肺、乳房[女性]、子宮頸部、卵巣、前立腺、皮膚悪性黒色腫、および成人と小児の脳腫瘍、白血病、リンパ腫)。これらのがんは、世界で毎年診断されているすべてのがんの75%に相当する。

 解析は、標準化された品質管理手順に従って進められた。5年生存率を推算し、推定値はInternational Cancer Survival Standard(ICSS)weightsで年齢調整を行った。

東アジアは消化器がんの生存率が高い
 ほとんどのがんの5年生存率は、依然として米国/カナダ、オーストラリア/ニュージーランド、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンで最も高かった。またデンマークは、多くのがんに関して、他の北欧諸国との差が縮まりつつあった。

 生存率は、比較的致死性の高いがんの一部を含め、全般に上昇傾向にあり、肝、膵、肺のがんの生存率が最大5%上昇した国もあった。2010~14年に診断を受けた乳がん女性の5年生存率は、オーストラリアが89.5%、米国は90.2%と高い値を示したが、インドでは66.1%と低い値を示し、依然として国によって大きな差が認められた。

 2010~14年の消化器がんの年齢調整5年生存率は、東アジア諸国が最も優れていた。胃がんは韓国が68.9%(日本は60.3%)、結腸がんも韓国が71.8%(日本は67.8%)、直腸がんも韓国が71.1%(日本は64.8%)で最も高く、食道がんは日本が36.0%(韓国は31.3%)、肝がんは台湾が27.9%(日本は30.1%だがデータの信頼性が低かった)であり、最も良好な結果であった。

 これに対し、東アジアの国は皮膚悪性黒色腫(韓国:59.9%、台湾:52.1%、中国:49.6%)、リンパ性悪性腫瘍(52.5%、50.5%、38.3%)、骨髄性悪性腫瘍(45.9%、33.4%、24.8%)の5年生存率が、他の地域に比べて低かった。

 2010~14年に診断を受けた小児では、急性リンパ芽球性白血病の5年生存率が、エクアドルの49.8%からフィンランドの95.2%まで大きな差があることが認められた。また、小児の脳腫瘍の5年生存率は、成人よりも高かったが、ブラジルの28.9%からスウェーデン/デンマークのほぼ80%まで、国によって大きな差がみられた。

 2017年以降、経済協力開発機構(OECD)は、世界48ヵ国の保健医療の質の指標のうち、がん生存率に関する公式の評価基準として、CONCORDプログラムの知見を使用している。「政府は、地域住民ベースのがん登録を、がんと診断されたすべての患者における、がん予防戦略の効果と医療システムの有効性の双方の評価に使用できる、重要な施策立案ツールとして認識すべきである」と、著者は指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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