1日1本のタバコでも心血管疾患リスク増大/BMJ

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ケアネット

1日1本のタバコでも心血管疾患リスク増大/BMJのイメージ

 1日1本であっても、喫煙は冠動脈疾患および脳卒中の発症リスクを予想以上に増大させ、心血管疾患の発症に害のない安全な喫煙レベルは存在せず、リスク低減には減煙では不十分であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAllan Hackshaw氏らが実施した141件のコホート試験のメタ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年1月24日号に掲載された。喫煙者の多くはタバコの本数を減らすことで関連疾患の発症リスクを低減できると考えているが、これまでにも冠動脈疾患のリスクは軽度の喫煙(1日5本未満)でも予想以上に高いことが報告されている。

コホート試験141件を含む55論文のメタ解析
 研究グループは、軽度の喫煙(1~5本/日)による冠動脈疾患および脳卒中のリスクを評価するために、系統的レビューとメタ解析を行った(Cancer Research UKの助成による)。

 医学データベース(Medline)を用いて、1946~2015年に発表された論文を検索した。冠動脈疾患および脳卒中のリスクに関して、非喫煙者と比較したハザード比または相対リスクの記述があり、心血管疾患のイベント数が50件以上の前向きコホート試験を対象とした。

 回帰モデルを用いて、非喫煙者と比較した、1日の喫煙本数が1本、5本、20本の場合の相対リスクを推算した。主要評価項目は、喫煙本数1日20本と比較した1日1本の相対リスクの変化率(過剰相対リスク)とした。たとえば、相対リスクが1日1本で1.4、20本で1.9の場合の過剰相対リスクは44%[(1.4-1)/(1.9-1)]となる。

 141件のコホート研究を含む55件の論文がメタ解析の対象となった。

リスク低減には、減煙でなく禁煙を
 男性の冠動脈疾患の相対リスクは、すべての試験では喫煙本数1日1本が1.48、1日20本は2.04であったが、複数の交絡因子で調整した試験に限定すると、それぞれ1.74、2.27といずれも増加した。女性の相対リスクは、全試験では1日1本が1.57、20本は2.84であったのに対し、交絡因子調整済み試験ではそれぞれ2.19、3.95であった。

 冠動脈疾患の、喫煙本数1日20本に対する1日1本の過剰相対リスクは、男性が46%(調整済み相対リスクを用いた場合は53%)、女性は31%(同:38%)であった。これは、男性における1日1本の冠動脈疾患リスクは、1日20本の約半分、女性は約3分の1であることを意味する。

 脳卒中については、男性の相対リスクは1日1本が1.25、20本は1.64であり、調整済み相対リスクはそれぞれ1.30、1.56であった。また、女性の相対リスクはそれぞれ1.31、2.16で、調整済み相対リスクは1.46、2.42であった。

 脳卒中の、喫煙本数1日20本に対する1日1本の過剰相対リスクは、男性が41%(調整済み相対リスクを用いた場合は64%)、女性は34%(同:36%)だった。
 相対リスクは、全般的に男性に比べ女性のほうが高かった。

 著者は、「男性では、1日1本の喫煙により、非喫煙者に比べ冠動脈疾患のリスクが48%(調整済み:74%)、脳卒中のリスクは25%(同:30%)増加し、女性ではそれぞれ57%(同:119%)、31%(同:46%)増加した」とまとめ、「喫煙者は、これら2つの一般的な主要疾患のリスクを統計学的に有意に低減させるには、喫煙本数を減らすのではなく、喫煙を止めるべきである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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完全禁煙のすすめ(解説:有馬 久富 氏)-812

コメンテーター : 有馬 久富( ありま ひさとみ ) 氏

福岡大学医学部 衛生・公衆衛生学 教授

J-CLEAR会員

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