心室頻拍にカテーテルを使わないアブレーション/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2017/12/22

 

 難治性心室頻拍に対する、電気生理学的ガイド下での非侵襲的心臓放射線照射によるアブレーション治療は、心室頻拍の負担を顕著に減少する可能性が確認された。米国・ワシントン大学のPhillip S. Cuculich氏らが、難治性心室頻拍患者5例を対象に、非侵襲的マッピング(心電位画像化技術)と非侵襲的アブレーション(体幹部定位放射線治療:SBRT)を組み合わせたカテーテルを使用しない新しい治療法について検討し、結果を報告した。カテーテルアブレーションは、難治性心室頻拍患者における最先端治療であるが、施術に伴う合併症や死亡リスクの上昇などがみられる。SBRTはこれらの課題を克服する可能性があるとして検討が行われた。NEJM誌2017年12月14日号掲載の報告。

電気生理学的ガイド下の非侵襲的心臓放射線照射によるアブレーションを実施
 研究グループは、植込み型除細動器(ICD)によって誘発された心室頻拍中に、解剖学的画像と非侵襲的心電位画像を組み合わせ、不整脈原性瘢痕領域を標的化し、標準的な技術を用いてSBRTのシミュレーション・計画・治療を行った。患者は、覚醒下において25Gyの単回照射で治療された。

 有効性は、ICDによって記録された心室頻拍エピソード数によって、安全性は心臓および胸部の連続イメージングで評価した。

非侵襲的アブレーションの平均時間14分、心室頻拍エピソード数が減少
 2015年4月~11月の期間で、ハイリスクの難治性心室頻拍患者5例が治療を受けた。非侵襲的アブレーションの平均時間は14分(範囲:11~18)であった。

 全例の心室頻拍エピソードは、治療前3ヵ月間が計6,577回であったが、アブレーション後6週間(blanking period:アブレーション後の炎症により不整脈が発生する可能性がある期間)が680回であった。また、blanking period後はベースラインから99.9%減少し、46患者月で4回と、5例全例で顕著な心室頻拍エピソードの減少が確認された。

 治療による平均左室駆出率の低下は認められなかった。3ヵ月時点で、隣接する肺に軽度の炎症性変化と合致する陰影を認めたが、1年後までに消失した。

 著者は研究の限界として、非侵襲的アブレーションは新しい方法であるため、傷害を与える可能性や、症例数が少ないことを挙げ、「今後の研究結果が出るまで、今回の方法が臨床使用に適していると考えられるべきではない」と述べている。なお研究グループはすでに、SBRTの安全性と有効性を評価するための前向き第1/2相試験(ENCORE-VT)を開始している。

(医学ライター 吉尾 幸恵)