コーヒーは有益か?有害か?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2017/12/04

 

 コーヒーの飲用は、一般的な量であれば全般に安全で、1日3~4杯の飲用でさまざまな健康転帰のリスクが大幅に低減され、有害性よりも利益が勝る可能性が高いことが、英国・サウサンプトン大学のRobin Poole氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年11月22日号に掲載された。コーヒーは世界的に消費量が多く、とくに慢性肝疾患における利益の可能性が高いとされるが、コーヒー飲用の利益や有害性との関係は多岐にわたる。コーヒーと健康との関連を理解することは、介入研究に先立つ、有害性との関連の探索において重要であるとされている。

飲用の健康転帰との関連をアンブレラレビューで検証
 研究グループは、コーヒーの飲用とさまざまな健康上の転帰との関連の既存のエビデンスを検証するために、観察研究および介入研究のメタ解析の包括的レビュー(umbrella review)を行った(研究助成は受けていない)。

 医学データベースを用いて、成人におけるコーヒー飲用と健康転帰の関連を評価した観察研究および介入研究のメタ解析の論文を選出した。コーヒー代謝の遺伝学的多形性の研究は除外した。

 67の健康転帰に関する観察研究のメタ解析201件、および9つの健康転帰に関する介入研究のメタ解析17件が同定された。

妊婦および女性の骨折を除き、高い安全性
 コーヒーの飲用は、摂取量の多寡、飲用の有無、1日の飲用杯数の1杯の差などのすべてで、健康転帰に関して有害性よりも利益との関連を示すエビデンスが多かった。

 コーヒーをまったく飲まない集団に比べ1日3~4杯飲用する集団は、全死因死亡(相対リスク:0.83、95%信頼区間[CI]:0.83~0.88)、心血管死(0.81、0.72~0.90)、心血管疾患(0.85、0.80~0.90)などの相対リスクが有意に低いことを示す要約推定値が得られ、飲用と健康転帰の間には非線形関係のエビデンスが認められた。

 飲用量の多い集団は少ない集団に比べ、がんの発症リスクが18%低かった(相対リスク:0.82、95%CI:0.74~0.89)。また、飲用はいくつかのがん種や神経疾患、代謝性疾患、肝疾患のリスク低下と関連した。

 高飲用量の妊婦は低飲用量または非飲用の妊婦に比べ低出生体重児(オッズ比[OR]:1.31、95%CI:1.03~1.67)の頻度が高く、妊娠第1期の早産(1.22、1.00~1.49)、第2期の早産(1.12、1.02~1.22)、妊娠損失(1.46、1.06~1.99)が多かったが、これらを除くと、喫煙で適切に補正することで、コーヒー飲用による有害な関連はほとんど消失した。

 また、女性ではコーヒー飲用と骨折リスクに関連がみられたが、男性には認めなかった。

 著者は、「これらの関連の因果関係の有無を理解するには、頑健な無作為化対照比較試験を行う必要がある」とし、「重要なのは、妊婦を除き、既存のエビデンスによって、コーヒーは害を引き起こす重大なリスクなしに、介入法として検証の対象となる可能性があることが示唆される点である。なお、骨折リスクが高い女性は除外すべきだろう」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)