新生児低酸素脳症の低体温療法、生後6時間以降は有効か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/08

 

 新生児の低酸素性虚血性脳症に対する低体温療法について、生後6~24時間に開始した場合は同療法を行わなかった場合と比べて、あらゆる死亡または障害発生が少なくなる確率は76%であり、生後18~22ヵ月の時点で死亡または障害発生が2%以上少なくなる確率は64%であった。米国・ブラウン大学のAbbot R. Laptook氏らによる無作為化試験の結果で、著者は「生後6~24時間に開始する低体温療法は、ベネフィットがありそうだが有効性については不確かである」とまとめている。これまでに、妊娠36週以降生誕の新生児低酸素性虚血性脳症に対し、生後6時間未満開始の低体温療法は、死亡または障害発生を減少することが示されていた。しかし、6時間以降開始の検討例は、研究グループが知る限りにおいて今回が初めてだという。JAMA誌2017年10月24日号掲載の報告。

168例を生後6~24時間開始の低体温療法群と非冷却群に無作為化し検討
 研究グループは2008年4月~2016年6月に、全米新生児研究ネットワークに参加する21施設で、36週以降に生まれた中等度または重度の低酸素性虚血性脳症新生児を生後6~24時間に登録し、同期間内に開始した低体温療法が、18ヵ月時点の死亡または障害発生のリスクを低減するかについて、無作為化試験で検証した。

 試験には、ベイズ解析で事前規定した予測限定サンプルサイズ168例が参加した。83例が低体温療法群に割り付けられ、食道温33.5℃(許容範囲:33~34)を96時間維持し、その後加温された。85例は非冷却群に割り付けられ、食道温37.0℃(同:36.5~37.3)が維持された。

 主要アウトカムは、生後18~22ヵ月時点の死亡または障害(中等度または重度)の複合で、無作為化時の脳症レベル(中等度または重度)、年齢(生後12時間以内、12時間超)で補正後に評価が行われた。

低体温療法群の死亡または障害発生が低くなる事後確率は76%
 低体温療法群と非冷却群の被験児は、妊娠期間が39週(SD 2)と39週(SD 1)、男児が47/83例(57%)、55/85例(65%)であった。両群とも出生時に酸血症を呈し、大部分が治療センターに移送され(85.5%、88.2%)、脳症レベルは中等度であった(88.0%、91.8%)。無作為化はそれぞれ生後平均16時間(SD 5)と15時間(SD 5)で受けていた。

 主要アウトカムの発生は、低体温療法群19/78例(24.4%)、非冷却群22/79例(27.9%)であった(絶対差:3.5%、95%信頼区間[CI]:-1~17)。

 中立的事前分布(neutral prior)を用いたベイズ解析の結果、非冷却群と比較して低体温療法群の死亡または障害発生が少なくなる事後確率は76%であった(補正後事後リスク比:0.86、95%確信区間[credible interval]:0.58~1.29)。また、死亡または障害発生が非冷却群よりも1%以上低くなる確率は71%、2%以上低い確率は64%、3%以上低い確率は56%であった。

(ケアネット)