上市がん治療薬、約半数はOS延長・QOL改善しない?/BMJ

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 2009~13年に欧州医薬品庁(EMA)が承認したがん治療薬は、そのほとんどが生存期間やQOLを改善したという明らかなエビデンスがないまま上市され、販売開始から最短3.3年の時点ではまだほとんどの適応症で決定的なエビデンスはなく、また、既存の治療もしくはプラセボに対する生存期間の延長が示されてもその多くは必ずしも臨床的に意味のあるものではないことが明らかとなった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCourtney Davis氏らが、審査報告書を後ろ向きに調査した結果を報告した。がん治療の目標は生命予後とQOLの改善であるにもかかわらず、承認を得るための臨床試験ではそれに代わるもしくは間接的な項目が有効性として評価されている。これまで、欧州で承認されたがん治療薬についてエビデンスやベネフィットの大きさを系統的に調べた研究はなかった。BMJ誌2017年10月4日号掲載の報告。

2009~13年に欧州で承認されたがん治療薬について調査
 研究グループは、2009~13年に承認されたがん治療薬について、EMAのデータベースを検索し、試験デザイン(無作為化、クロスオーバー、盲検化)、対照薬およびエンドポイントからpivotal試験および上市後臨床試験を特定し、そのデータを審査報告書(European Public Assessment Report:EPAR)から得るとともに、PubMedで無作為化比較試験を検索し、承認時ならびに市販後の全生存期間(OS)またはQOLに対する有効性および有益性を検討した。承認時または上市後にOSの延長が示された薬剤については、その延長の臨床的な価値をEuropean Society for Medical Oncology Magnitude of Clinical Benefit Scale(ESMO-MCBS)を用いて評価した。

承認後中央値5.4年で臨床的に意味のあるOS延長確認は半数
 2009~13年にEMAが承認したがん治療薬は48製剤、68適応であった。このうち8適応(12%)は、治験薬だけの単群試験に基づいて承認されていた。

 承認時点でOSの有意な延長が認められたのは、24/68適応(35%)で、その延長期間は1.0~5.8ヵ月(中央値2.7ヵ月)であった。また、承認時点でQOLの改善が認められたのは、7/68適応(10%)であった。

 承認時点でOSの延長が認められなかった44適応のうち、上市後の臨床試験でOS延長のエビデンスが確認されたのは3適応(7%)、QOLに対する有益性が報告されたのは5適応(11%)であった。

 また、68適応について、承認後中央値で5.4年(範囲3.3~8.1年)追跡した結果、OSまたはQOLの有意な改善が示されたのは35適応(51%)に過ぎず、残りの33適応(49%)は不明なままであった。また、OSの改善が示された26適応のうち、ESMO-MCBSスケールを適用できた23適応(23製剤)において、臨床的に意味があると判定されたのは半数未満(11/23適応、48%)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 折笠 秀樹( おりがさ ひでき ) 氏

富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・ 臨床疫学 教授

J-CLEAR評議員

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