新たな血管内デバイス、治療抵抗性高血圧を著明に改善?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/25

 

 治療抵抗性高血圧の新たな治療デバイスとして開発された血管内圧受容器増幅デバイス「MobiusHD」(米国Vascular Dynamics社製)について、持続的な降圧効果と安全性が確認されたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのWilko Spiering氏らが、ヒトでは初となる前向き非盲検臨床試験「CALM-FIM_EUR試験」の結果、発表した。MobiusHDは、頸動脈洞を再構築(reshape)する血管内インプラントで、頸動脈の圧反射活性が血圧を低下するという原理を応用して開発された。Lancet誌オンライン版2017年9月1日号掲載の報告。

片側頸動脈内に留置し6ヵ月時点で安全性と有効性を評価
 CALM-FIM_EURはproof-of-principle試験で、欧州の6施設(オランダ5、ドイツ1)にて治療抵抗性高血圧の成人患者(18~80歳)を集めて行われた。

 患者の適格要件は、利尿薬を含む3剤以上の降圧薬併用治療にもかかわらず診察室血圧が≧160mmHg、平均24時間ABPが130/80mmHg以上であった。主な除外基準は、高血圧が睡眠時無呼吸症候群以外に起因している患者、頸動脈または大動脈弓のプラークまたは潰瘍の形成あり、頸動脈の内径が5.00mm未満または11.75mm超、BMIが40以上、慢性心房細動、2剤併用抗血小板療法の禁忌あり、長期に経口抗凝固薬を服用中、過去3ヵ月に心筋梗塞または不安定狭心症、前年に脳血管系の発作、推定糸球体濾過量45mL/分/1.73m2以下、イミダゾリン受容体薬やその他の中枢性に作用する降圧薬の服用者などであった。

 MobiusHDデバイスを片側の頸動脈内に留置。主要エンドポイントは6ヵ月時点の重篤有害事象の発現率とした。副次エンドポイントは、診察室血圧および24時間ABPの変化などであった。

留置後半年で、診察室血圧24/12mmHg、24時間ABPは21/12mmHg降圧
 2013年12月~2016年2月に、患者30例が登録されデバイスを成功裏に留置した。被験者の平均年齢は52歳(SD 12)、15例(50%)が男性、降圧薬の平均服用数は4.4剤(SD 1.4)であった。

 ベースラインの平均診察室血圧は184/109mmHg(SD 18/14)であったが、6ヵ月時点で24/12mmHg(SD 13~34/6~18)の降圧が認められた(収縮期p=0.0003、拡張期p=0.0001)。

 また、ベースラインの24時間ABPは166/100mmHg(SD 17/14)であったが、6ヵ月時点で21/12mmHg(SD 14~29/7~16)の降圧が認められた(収縮期、拡張期ともp<0.0001)。

 6ヵ月間で重篤有害事象の発生は、患者4例(13%)において5件が報告された。低血圧症が2例、高血圧症の悪化が1例、間欠性跛行1例、創感染1例であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 冨山 博史( とみやま ひろふみ ) 氏

東京医科大学 循環器内科 教授

J-CLEAR評議員