ネガティブ試験の出版割合は低くない?/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/05/17

 

 ポジティブな転帰の試験は、ネガティブな転帰の試験よりも初回投稿時の採択率は高い傾向があるが、投稿や出版期日までの出版の割合はネガティブ試験のほうが高く、試験期間を通じて研究段階バイアス(submission bias)や出版バイアス(publication bias)のエビデンスは認められないとの結果が、米国・グラクソ・スミスクライン社研究開発部のGary Evoniuk氏らの調査で示された。同氏らは、「出版率にのみ重点を置いた分析は、不成功に終わった出版に向けた取り組みを考慮していない」と指摘する。研究の成果は、BMJ誌2017年4月21日号に掲載された。2010年以降に実施された文献調査では、clinicaltrials.govや他の公的サイトに登録された試験の15~44%は医学誌に発表されていないという。統計学的に有意な転帰が得られなかった試験は出版の可能性が低く、出版された場合も試験終了から公表までの期間が長期に及ぶとされてきたが、今回の結果はこれらの知見とは相反するものであった。

単一企業スポンサーの試験を転帰別に検討
 研究グループは、薬物研究の転帰が、査読(peer review)に基づく医学誌での出版に向けた投稿や採択の割合に影響を及ぼすかを検証した(GlaxoSmithKline社の助成による)。

 単一企業スポンサー(GlaxoSmithKline社)がヒトを対象に実施し、2009年1月1日~2014年6月30日に終了して18ヵ月(2015年12月31日)以内に医学誌に投稿予定のすべての薬物研究の転帰別の出版状況を後ろ向きにレビューした。2014年6月30日以降に終了した試験であっても、2015年12月31日までに投稿された場合は、転帰にかかわらず解析に含めた。2016年2月26日の時点でのすべての試験の出版状況を調査した。

 すべての試験は、出版状況の盲検下に、主要評価項目の転帰に基づきポジティブ(試験薬の転帰が好ましいと解釈される)、ネガティブ(好ましくないと解釈される)、混合(主要評価項目が2つ以上で、統計学的に有意差ありとなしの項目がある)、非比較(前3項目の基準を満たさない研究など)に分類された。ネガティブ試験には、主要評価項目は達成したが有害と判定された安全性試験も含まれた。

転帰別投稿率:79 vs.92%、出版率:66 vs.77%
 1,064件の試験(第I~IV相、介入研究、非介入研究)のうち、321件(30%)がポジティブ、155件(15%)がネガティブ、52件(5%)が混合、536件(50%)は非比較と判定された。

 出版期日(2016年2月26日)の時点で、904件(85%)が完全原稿として投稿済みで、751件(71%)が出版されるか受理されており、100件(9%)は審査中であった。また、77件(7%)はカンファレンスの抄録として公開されており、投稿率や出版率の解析には含めなかった。

 転帰別の投稿率は、ポジティブ試験が79%、ネガティブ試験は92%であり(Fisher正確確率検定:p<0.001)、混合が94%、非比較は85%であった。出版期日時の出版率は、それぞれ66%、77%(p=0.019)、77%、71%だった。また、全体の試験終了から投稿までの期間中央値は537日(IQR:396~638)、出版までの期間中央値は823日(650~1,063)であり、ポジティブ試験よりもネガティブ試験がそれぞれ31日(504 vs.535日)、102日(774 vs.876日)長かった。

 初回投稿時の採択率は、ポジティブ試験が56%、ネガティブ試験は48%であった(p=0.17)。全体の10%以上の試験が、出版に至るまでに3回以上の投稿を要した。解析時に、83件(8%)が未投稿であり、そのうち49件がポジティブな生物学的同等性試験、33件は非比較試験であった。

 米国食品医薬品局改正法(FDAAA)でclinicaltrials.govへの登録が要件となるすべての試験を含むほとんどの試験(98%、1,041/1,064件)は、その結果が1つ以上の公的な登録機関に掲載されていた。

 著者は、「出版率に関するこれまでの議論は、スポンサーの投稿や医学誌の不採択の割合を把握していないため、研究結果の出版に向けたスポンサーの取り組みを実質的に過小評価している可能性があり、ネガティブな転帰の試験における研究段階バイアスや出版バイアスは一般に想定されるほどには広まっていないのではないか」と指摘し、「完全な透明性に関わる諸問題や障壁のよりよい理解に寄与するために、他のスポンサーや編集者に働きかけて、投稿規定や採択基準などの情報の共有に努めたい」としている。

(医学ライター 菅野 守)