ウラリチド、急性心不全における心血管死の減少示せず/NEJM

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ウラリチド、急性心不全における心血管死の減少示せず/NEJMのイメージ

 ナトリウム利尿ペプチドのularitideは急性心不全患者において、心筋トロポニン値に影響を及ぼすことなくBNP低下など好ましい生理的作用を示したが、短期間の治療では臨床的な複合エンドポイントや長期の心血管死亡率を減少させることはなかった。米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らが、急性心不全患者に対するularitide早期投与の長期的な心血管リスクへの影響を検証したTRUE-AHF試験の結果を報告した。急性心不全に対してはこれまで、心筋壁応力(cardiac-wall stress)と潜在的な心筋傷害を軽減し、長期予後を改善するための治療として、血管拡張薬静脈投与による早期介入が提唱されていた。NEJM誌オンライン版2017年4月12日号掲載の報告。

急性心不全患者約2,000例で、ウラリチド早期投与の有効性をプラセボと比較
 TRUE-AHF(Ularitide Efficacy and Safety in Acute Heart Failure)試験は、2012年8月~2014年5月の期間、23ヵ国156施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験である。対象は、18~85歳の急性心不全患者2,157例で、標準治療に加えularitide(15ng/kg/分、48時間持続点滴)を投与する群と、プラセボを同様に投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付け、初回臨床評価から12時間以内に試験薬の投与を開始することとした。

 主要評価項目は、全試験期間における心血管死と、当初の48時間における臨床経過を階層的に評価した複合エンドポイント(当初48時間における死亡、静注または機械的な介入を要する心不全の持続または悪化、6・24・48時間後の総合評価)であった。

心血管死や心筋トロポニン値の変化に両群で有意差なし
 試験薬の投与開始時間中央値は最初の評価から6.1時間後(四分位範囲:4.6~8.4)、追跡期間中央値は15ヵ月であった。

 心血管死は、ularitide群で236例、プラセボ群で225例発生した(21.7% vs.21.0%、ハザード比:1.03、96%信頼区間:0.85~1.25、p=0.75)。intention-to-treat解析において、両群間で階層的複合エンドポイントに有意差は認められなかった。

 ularitide群ではプラセボ群と比較して、収縮期血圧とN末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)が低下した。一方で、対応データを有した患者(55%)において、試験薬投与中の心筋トロポニンT値の変化は両群間で差はなかった。

 著者は、「試験薬の投与が最初の評価から1~3時間以内のより早期の介入であればさらに良好な結果が得られた可能性や、トロポニンT値を投与前後で測定できたのは約半数など研究の限界があり結果の解釈には注意を要するが、ularitideは心筋障害を軽減せず疾患の進行に影響を及ぼさなかった」とまとめている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 絹川 弘一郎( きぬがわ こういちろう ) 氏

富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二(第二内科) 教授

J-CLEAR推薦コメンテーター

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