禁煙支援サービス、個別の疾患リスク提示で利用者倍増/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2017/02/03

 

 英国国民保健サービス(NHS)の禁煙支援サービス(Stop Smoking Services:SSS)において、入門セッションへの案内状と一緒に個別のリスク情報(個人が喫煙を継続した場合に起こりうる重篤な疾患の危険度)を提供することによって、標準の一般的な案内状と比較してSSSへの参加率が2倍以上になったという。ロンドン大学のHazel Gilbert氏らが、SSSの利用に関して2つの要素から成る個別化介入の有効性を評価したStart2quit試験の結果、報告した。SSSは禁煙を希望する喫煙者を支援するものだが、利用率は低く、最近はさらに低下傾向にあった。今回の結果を踏まえて著者は、「地域のサービスを体験する機会と組み合わせ、より積極的にアプローチすることで、サービスを受けることに対する患者の障壁を減らすことができ、利用者が増加する可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2017年1月24日号掲載の報告。

標準的な案内状と、個別のリスク情報+体験会の案内状の効果を比較
 研究グループは、英国でSSSを提供している18地域内の一般診療所99施設において、現在も喫煙している16歳以上の喫煙者で、禁煙を希望し、過去12ヵ月以内にSSSを利用したことがない人を対象に、無作為化比較試験を実施した。

 参加者は、個々に応じたリスクが示された書類と地域のSSSが行っている任意の入門セッション(体験会)の案内状を受け取る介入群と、地域のSSSを知らせる標準的な通知を受け取る対照群に、ブロックランダム化法を用い性別で層別化し、3対2の割合で無作為に割り付けられた。介入群の参加者は盲検化できなかったが、個々の書類を作成したアシスタント以外の研究者は、割り付けに関して盲検化された。また、一般診療所の医師、スタッフおよびSSSのアドバイザーも、参加者の割り付けを知らされなかった。

 主要評価項目は、無作為化から6ヵ月以内のSSSコース(6週間)の初回セッションへの参加とし、intention to treat解析を実施した。

介入群では初回セッションへの参加が対照群の約2倍に
 2011年1月31日~2014年7月12日に、4,384例が無作為に割り付けられ(介入群2,636例、対照群1,748例)、4,383例が解析対象となった。

 SSS初回セッションへの参加者は、対照群と比較して介入群で有意に増加した(158例[9.0%] vs.458例[17.4%]、非補正オッズ比:2.12、95%信頼区間[CI]:1.75~2.57、p<0.0001)。

 なお、参加したSSSは151のうち18ヵ所のみで、基準を満たす喫煙者の募集率は4.1%と低く、SSSへの参加と禁煙に対する今回の介入の相対寄与は推定できていない。

(医学ライター 吉尾 幸恵)