トラスツズマブとバイオシミラー、ERBB2陽性乳がん奏効率は同等/JAMA

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ケアネット

トラスツズマブとバイオシミラー、ERBB2陽性乳がん奏効率は同等/JAMAのイメージ

 トラスツズマブのバイオシミラー(バイオ後続品)は、タキサン系薬剤の投与を受けているERBB2(HER2)陽性の転移性乳がん女性において、トラスツズマブと同等の奏効率をもたらすことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のHope S Rugo氏らが行ったHeritage Studyで示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2016年12月1日号に掲載された。モノクローナル抗体などのバイオ医薬品は、多くのがんの治療選択肢であり、アウトカムを大きく改善するが、これらの薬剤への近接性が十分でない国も多いという。いくつかのバイオ医薬品の特許期間の満期がさし迫り、世界中の製薬企業や保健機関にとって、バイオシミラーの開発は高品質の代替薬へのアクセスを高めるものとして、優先度が高くなっている。

バイオ後続品の同等性を検証する無作為化試験
 Heritage Studyは、ERBB2陽性の転移性乳がん患者におけるトラスツズマブのバイオシミラー(MYL-1401O)の安全性と有効性を評価する国際的な二重盲検無作為化並行群間比較試験(Mylan社の助成による)。

 対象は、化学療法薬およびトラスツズマブによる前治療歴のないERBB2陽性の測定可能病変を有する女性または男性の転移性乳がん患者であった。全身状態(ECOG PS)は0~2、左室駆出率(LVEF)は各施設の正常範囲とし、術後トラスツズマブ施行例は1年以上が経過していれば可、脳転移例は放射線照射などで病態が安定した場合は可とし、ホルモン薬は試験開始前に中止することとした。

 被験者は、バイオシミラー+タキサン系薬剤またはトラスツズマブ+タキサン系薬剤を投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。バイオシミラーとトラスツズマブは3週ごとに静脈内投与し、初回は8mg/kgを90分で、2回目以降は6mg/kgを30分で投与した。タキサン系薬剤(ドセタキセル、パクリタキセル)の選択は、担当医の裁量とした。治療は、許容できない毒性の発現や病勢が進行するまで、8サイクル(24週)以上施行することとした。

 主要評価項目は、24週時の客観的奏効率(ORR:完全奏効[CR]+部分奏効[PR])であり、バイオシミラーのトラスツズマブに対するORR比の90%信頼区間(CI)が0.81~1.24の範囲内、またはORR差の95%CIが-15~15%以内の場合に、両群の腫瘍縮小効果は同等と判定した。

 2012年12月~2015年8月に、ブルガリア、チリ、チェコ、ジョージア、ハンガリー、インド、ラトビア、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、ロシア、セルビア、スロバキア、南アフリカ、タイ、ウクライナの95施設に500例が登録され、458例(バイオシミラー群:230例、トラスツズマブ群:228例)が有効性解析の対象となった(ITT集団)。安全性は493例(247例、246例)で検討された。

TTP、PFS、OSに有意差なし、有害事象プロファイルも類似
 全体の平均年齢は53.6歳(SD 11.11)、白人(バイオシミラー群:69.1%、トラスツズマブ群:67.5%)が多くを占め、次いでアジア人(30.4%、31.6%)が多かった。登録例はすべて女性だった。

 ORRは、バイオシミラー群が69.6%(95%CI:63.62~75.51)、トラスツズマブ群は64.0%(95%CI:57.81~70.26)であった。CRがバイオシミラー群の3例(1.3%)で得られた。ORR比は1.09(90%CI:0.974~1.211)、ORR差は5.53(95%CI:-3.08~14.04)であり、いずれも事前に規定された同等性限界内であった。

 48週時の無増悪率(TTP、バイオシミラー群:41.3% vs.トラスツズマブ群:43.0%、群間差:-1.7%、95%CI:-11.1~6.9、p=0.68)、無増悪生存率(PFS、44.3 vs.44.7%、-0.4%、-9.4~8.7、p=0.84)、全生存率(OS、89.1 vs.85.1%、4.0%、-2.1~10.3、p=0.31)は、いずれも両群間に有意な差を認めなかった。

 24週時の1つ以上の治療関連有害事象の発現率は、バイオシミラー群が96.8%(239/247例)、トラスツズマブ群は94.7%(233/246例)であった。頻度の高い有害事象は、脱毛(バイオシミラー群:57.5 vs.トラスツズマブ群:54.9%)、好中球減少(57.5 vs.53.3%)、末梢神経障害(23.1 vs.24.8%)、下痢(20.6 vs.20.7%)の順であった。

 重篤な有害事象の発現率は、バイオシミラー群が38.1%(94/247例)、トラスツズマブ群は36.2%(89/246例)であった。全体で、好中球減少(26.4%)の頻度が最も高く、次いで発熱性好中球減少(4.3%)、白血球減少(3.2%)の順だった。重篤な有害事象の発現例のうち8例(両群4例ずつ)が死亡し、このうち呼吸器不全死の1例ずつで、試験薬関連の可能性が示唆された。

 ベースラインのLVEF中央値は、バイオシミラー群が64.0%(範囲:51~82)、トラスツズマブ群は63.0%(範囲:51~84)であり、24週時の変化率はそれぞれ-1.0%(範囲:-13~21)、-1.0%(範囲:-19~13)であり、大きな変化はみられなかった。

 著者は、「安全性や長期的な臨床アウトカムを評価するために、さらに検討を進める必要がある」とし、「トラスツズマブは世界中で広く使用可能な状況ではないが、このバイオシミラーは価格が低くなり、非高所得国の女性がアクセスできるようになる可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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