心房細動はすべての心血管リスク増大と関連/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/09/15

 

 心房細動は、死亡リスクを増大し、心血管および腎疾患のリスク増大と関連することが、104のコホート試験、被験者総数約970万人を対象にしたメタ解析により、明らかにされた。英国・オックスフォード大学のAyodele Odutayo氏らが行い、BMJ誌オンライン版2016年9月6日号で発表した。これまでの試験結果から、心房細動は全死因死亡や脳卒中リスクを増大することは知られていたが、脳卒中に限らず、広く心血管イベントのリスクを増大するかは不明であった。今回の結果を踏まえて著者は、「心房細動患者では、脳卒中に限らず広範なアウトカムを減じる介入が必要であることが示された」とまとめている。

心房細動患者約59万人を含むコホート試験を分析
 研究グループは、Medline、Embaseをデータソースとして、システマティック・レビューとメタ解析を行い、心房細動と全死因死亡、心血管死、重大心血管イベント、脳卒中、心臓突然死などのリスクについて分析した。

 システマティック・レビューで特定された104のコホート試験、被験者総数968万6,513例(うち心房細動の患者58万7,867例)について、逆分散法変量効果メタ解析により、統合推定値を算定した。

心不全リスクは約5倍に
 その結果、心房細動は、全死因死亡、心血管死のリスクを、それぞれ約1.5倍、2.0倍増大した(それぞれ、相対リスク:1.46[95%信頼区間[CI]:1.39~1.54]、同:2.03[1.79~2.30])。

 重大心血管イベントリスクの相対リスクは1.96(95%CI:1.53~2.51)、脳卒中は2.42(2.17~2.71)、虚血性脳卒中は2.33(1.84~2.94)、虚血性心疾患は1.61(1.38~1.87)、心臓突然死は1.88(1.36~2.60)、また、心不全は4.99(3.04~8.22)、慢性腎不全は1.64(1.41~1.91)、末梢動脈疾患は1.31(1.19~1.45)と、いずれも有意に増大した。

 一方、出血性脳卒中リスクには有意な増大は認められなかった(相対リスク:2.00、同:0.67~5.96)。

 調査したアウトカムの中で、絶対リスクが最も高値であったのは、心不全だった。また、これらアウトカムと心房細動との関連性は、サブグループ解析や感度解析でもほとんど変わらなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)