喘息小児へのアセトアミノフェンは回避すべきなのか/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/08/25

 

 軽症持続型喘息の小児に対し、発熱や痛みなどの際に、必要に応じてアセトアミノフェンを投与しても、イブプロフェン投与と比較して、喘息急性増悪の頻度や、喘息コントロール日数の割合などは、同等であることが明らかにされた。米国・ハーバード大学医学部のW.J. Sheehan氏らが行った、前向き多施設共同の無作為化二重盲検並行群間試験の結果で、NEJM誌2016年8月18日号で発表した。小児へのアセトアミノフェンの頻繁な投与と、喘息合併症との関連を示唆する先行試験の結果から、喘息小児へのアセトアミノフェン投与の回避を推奨する医師もいるが、この関連性について適切なデザインで評価した試験はなかったという。

300児を対象に48週間追跡
 研究グループは、月齢12~59ヵ月の軽症持続型喘息児300例を対象に、48週間の臨床試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、発熱や痛みの軽減の必要に応じて、一方にはアセトアミノフェンを、もう一方の群にはイブプロフェンを投与した。

 主要評価項目は、全身グルココルチコイド投与を要した喘息の急性増悪の回数だった。両群ともに、標準的喘息管理療法を行った。

 試験を完了したのは226例(75.3%)だった。両群間の特性に有意差はなく、登録時の平均年齢は39.9±13.2ヵ月、試験登録前の喘鳴エピソードは年5.9±5.0、救急受診は3.0±2.4回などだった。

喘息増悪回数、コントロール日数、アルブテロール吸入回数は両群で同等
 アセトアミノフェン、イブプロフェンの投与回数の中央値は、それぞれ7.0回と4.5回で、両群で有意差はなかった(p=0.47)。

 1例あたり急性増悪回数は、アセトアミノフェン群が平均0.81回、イブプロフェン群が平均0.87回と、両群で同等だった(アセトアミノフェン群のイブプロフェン群に対する相対比率:0.94、p=0.67)。

 急性増悪を1回以上発症した小児の割合は、アセトアミノフェン群が49%、イブプロフェン群が47%で、同2回以上についてはそれぞれ21%、24%だった。また、喘息がコントロールされていた日数の割合についても、アセトアミノフェン群85.8%、イブプロフェン群86.8%と、同等だった(p=0.50)。

 そのほか、アルブテロールの発作時吸入の使用回数(アセトアミノフェン群2.8/週、アセトアミノフェン群3.0/週、p=0.69)、喘息による予定外の受診回数(0.75回/例、0.76回/例、p=0.94)、有害事象の報告回数いずれについても、有意差は認められなかった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)