スタチンを中断する患者、7割以上が再開/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/07/11

 

 スタチン治療患者の中断率および再開率を調べた結果、1次予防目的での服用開始患者の中断率は47%、うち再開率は72%であり、2次予防患者ではそれぞれ41%、75%であったという。英国・パーク大学のYana Vinogradova氏らが、同国プライマリケア・データベースを用いた前向きオープンコホート試験の結果、報告した。スタチン治療については先行試験で、中断率が高く、アドヒアランスが低いことが示されている。また傾向として、若年層または高年齢層、女性、マイノリティ、喫煙者、BMI低値、非高血圧または非糖尿病の患者でアドヒアランスが低いことが示されていた。しかし、大半の試験が一般市民の代表を対象としたものではなく、試験デザイン、曝露やアウトカムの定義がまちまちであった。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。

英国プライマリケア・データベースで、中断率、再開率および患者特性を調査
 研究グループが活用したのは、英国のClinical Practice Research Datalinkで、664人の一般医(GP)が関与していた。2014年10月時点でデータを抽出し、スタチン治療の中断率および再開率を調べ、それぞれの患者の特性を調べた。

 対象被験者は、2002年1月~2013年9月の間にスタチン治療を開始した25~84歳。研究グループは、被験者を1次予防群と、2次予防群(心血管疾患の診断歴のある患者)の2群に分類した。試験登録前の12ヵ月間にスタチン処方を受けていた患者は除外した。

 主要アウトカムは、スタチン治療中断率(最終処方日と推定される日から90日の間がある)、および中断者における再開率(再開の定義は、中断以降の試験終了までのあらゆる処方)とした。

中断-再開の詳細な患者傾向が判明
 1次予防群は43万1,023例。追跡期間中央値137週において、中断率は47%(20万4,622例)であり、うち再開率は72%(14万7,305例)であった。2次予防群は13万9,314例。追跡期間中央値182週において、中断率は41%(5万7,791例)であり、うち再開率は75%(4万3,211例)であった。

 患者特性を調べた結果、若年層(50歳以下)、高年齢層(75歳以上)、女性、慢性肝疾患の患者は、中断率が高く、再開率が低い傾向が認められた。一方で、マイノリティ、現在喫煙、1型糖尿病の患者は、中断率は高いが再開率も高い傾向がみられた。一方で、高血圧、2型糖尿病の患者は、中断率が低く、たとえ中断しても再開する割合が高い傾向が認められた。

 これらの結果は、1次予防群と2次予防群でほとんど変わらなかった。

 著者は、「スタチン使用者のうち中断する人は多いが、そのほとんどで再開がみられた。“中断”が想定される大多数の患者にとって、スタチン治療の中断は、幅広く存在する低率アドヒアランス問題の一部にすぎないのだろう」と述べ、「どの患者が中断群または中断-再開群となるかを識別することは、患者および医師にとってポジティブな意味があり、さらなる検討領域であることが示唆される」とまとめている。