酸化LDLが高値ほどメタボ発症率上昇

提供元:ケアネット

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公開日:2008/06/03

 



実験レベルでは、酸化LDLとメタボリックシンドロームの関与説が支持されているが、ヒトレベルではどうなのか。メタボリックシンドロームと酸化LDLの関係を検証していたオランダ・ルーヴァン・カトリック大学のPaul Holvoet氏らは、「血中の酸化LDLレベルが高いとメタボリックシンドロームの発症率は上昇する」との報告を行った。JAMA誌2008年5月21日号より。

米国の都市住民1889例を20年間追跡調査




住民ベースで前向きの観察研究「The coronary artery risk development in young adults」(CARDIA)に、1985~1986年に登録された、米国4大都市圏に居住する18歳~30歳の参加者1,889例(アフリカ系アメリカ人41%、女性56%)を対象に、登録から15年目(2000-2001年、年齢33~45歳)および20年目(2005-2006年)の時点で、血中酸化LDLレベルとメタボリックシンドローム発症の頻度を比較した。

酸化LDLレベルは、モノクロナール抗体による検定法で測定。メタボリックシンドロームの定義は、米国の「Cholesterol Education Program」が規定した「Adult Treatment Panel III」によった。

当初ゼロから20年後には12.9%が発症




追跡調査15年時点ではメタボリックシンドローム事象が見られなかった参加者だが、20年時点では12.9%(1,889例中243例)がメタボリックシンドロームと診断された。

この5年間の調査結果を、年齢、性別、人種、検査センター、喫煙、BMI、身体活動度、LDLコレステロール濃度で補正して、酸化LDLレベル5分位ごとに分け、メタボリックシンドローム発症オッズ比を対最小値(<55.4 U/L)群で見たところ
 第2分位(55.4~69.1 U/L)では2.1(95%信頼区間:1.1~3.8)
 第3分位(69.2~81.2 U/L)では2.4(1.3~4.3)
 第4分位(81.3~97.3 U/L)では2.8(1.5~5.1)
 第5分位(97.4 U/L以上)では3.5(1.9~6.6)
とレベルが上がるほど高くなる相関が確認された。

メタボリックシンドロームの各構成要素のオッズ比は、第1分位 vs 第5分位では腹部肥満が2.1(95%CI:1.2~3.6)、高血糖が2.4(95%CI:1.5~3.8)、高TG血症は2.1(95%CI:1.1~4.0)だった。

しかし、LDLコレステロール値とメタボリックシンドローム発症との相関関係は確認されなかった。また、酸化LDLを組み込んだ完全調整モデルで構成要素の関連は確認されなかったが、Holvoet氏らは上記結果を踏まえ「血中の酸化LDLレベルが高いほど、個々の症状だけでなく、全体としてメタボリックシンドロームの発症増加に関係する」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)