中等度リスク患者への降圧治療のベネフィットは?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2016/04/14

 

 心血管疾患既往のない、心血管イベントリスクが中程度の患者に対し、カンデサルタン+ヒドロクロロチアジドによる降圧治療を行っても、主要心血管イベントリスクは低下しないことが示された。カナダ・Population Health Research InstituteのEva M. Lonn氏らが、約1万3,000例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験HOPE-3の結果、明らかにした。降圧治療について、高リスクの人および収縮期血圧が160mmHg以上の人では、心血管イベントリスクを低下するが、中等度リスクの人および血圧が低い(160mmHg未満)人における役割については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2016年4月2日号掲載の報告。

21ヵ国228ヵ所の医療機関で調査
 研究グループは、21ヵ国228ヵ所の医療機関を通じて、55歳以上の男性と65歳以上の女性で、心血管疾患の既往がなく、(1)ウエスト・ヒップ比が高い、(2)低HDLコレステロール値、(3)最近または現在喫煙、(4)糖代謝異常、(5)早期冠動脈疾患の家族歴、(6)軽度腎機能障害のいずれか1つ以上が認められる、1万2,705例を対象に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。

 同試験では、2×2要因デザインを用いて、カンデサルタン16mg/日+ヒドロクロロチアジド12.5mg/日と、脂質低下薬ロスバスタチン10mg/日の効果を検証。本論文では、カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド投与群(6,356例)と、同非投与群(プラセボ群、6,349例)について、その効果を比較した。

 主要複合アウトカムは2つあり、第1主要複合アウトカムは心血管疾患死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中、第2主要複合アウトカムは、第1主要複合アウトカムに心肺停止からの蘇生、心不全、血行再建術を加えたものだった。

第1および第2主要複合アウトカムともプラセボ群と同等
 追跡期間中央値は、5.6年だった。被験者のベースライン平均血圧値は138.1/81.9mmHgだった。

 試験期間中、治療群の血圧低下幅はプラセボ群に比べ6.0/3.0mmHg大きかった。

 第1主要複合アウトカムの発生率は、治療群が4.1%(260例)に対し、プラセボ群は4.4%(279例)で、同等だった(ハザード比:0.93、95%信頼区間[CI]:0.79~1.10、p=0.40)。

 第2主要複合アウトカムの発生率も、治療群4.9%(312人)に対し、プラセボ群5.2%(328例)と、両群で同等だった(同:0.95、0.81~1.11、p=0.51)。

 なお、事前に規定した収縮期血圧値が143.5mmHg超のサブグループについて調べたところ、第1・第2主要複合アウトカムとも、治療群でプラセボ群に比べ有意に低率だった(第1主要複合アウトカムについての傾向のp=0.02、第2主要複合アウトカムについての同p=0.009)。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来