中等度~重度の乾癬に対するustekinumabの有効性と安全性を確認

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2008/05/29

 

中等度~重度の乾癬に対する抗インターロイキン(IL)-12/23ヒトモノクローナル抗体ustekinumab(ウステキヌマブ、CNTO 1275)の有効性が、米国Saint Louis医科大学のCraig L Leonardi氏らが行った第III相試験(PHOENIX 1)で確認された。乾癬は皮膚の慢性的な免疫介在性炎症性疾患であり、世界の人口の2~3%が罹患しているという。ustekinumabは乾癬の病態生理で重要な役割を担うヒトIL-12とIL-23の共通サブユニットp40蛋白に特異的に結合することで細胞表面上のIL12Rβ1受容体との相互作用を阻害する。同様の試験PHOENIX 2でも同様の結果が得られており、ともにLancet誌2008年5月17日号で報告された。

2種類の用量とプラセボの短期的効果、長期的な維持療法の効果を検証




本研究は、2005年12月~2007年9月に北米およびベルギーの48施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験。中等度~重度の乾癬766例が、0および4週(12週ごと)にustekinumabを45mg投与する群(255例)、90mg投与する群(256例)、プラセボ群(255例)に無作為に割り付けられた(プラセボ対照期:0~12週)。

プラセボ投与群は12週時にustekinumab 45mg投与群(123例)あるいは90mg投与群(120例)に割り付けられた(プラセボクロスオーバー・積極的治療期:12~40週)。0週にustekinumabの投与を受けた例のうち長期的な有効性[28および40週に、乾癬範囲および重症度指標が少なくとも75%改善(PASI 75)]が達成された症例は、40週の時点で、効果が消失するまで同用量で維持療法を継続する群と治療を中止する群(プラセボ投与)に無作為に割り付けられた(無作為化治療中止期:40~76週)。

ustekinumab投与群の有効性は短期的にも長期的にも有意に優れる




12週の時点で、45mg投与群の171例(67.1%)、90mg投与群の170例(66.4%)、プラセボ群の8例(3.1%)がPASI 75を達成した(プラセボ群に対し45mg投与群:p<0.0001、90mg投与群:p<0.0001)。

40週における長期的な効果は45mg投与群の150例、90mg投与群の172例で達成された。これらのうち、162例が維持療法群に、160例が治療中止群に割り付けられた。PASI 75は、40週で治療が中止された群よりも維持療法が行われた群において少なくとも1年以上にわたり良好に維持された[p<0.0001(log-rank検定)]。

12週までの有害事象は、ustekinumab投与510例のうち278例(54.5%)に、プラセボ群255例のうち123例(48.2%)に認められた。重篤な有害事象は、それぞれ6例(1.2%)、2例(0.8%)であった。有害事象のパターンは、プラセボクロスオーバー・積極的治療期、無作為化治療中止期ともに、プラセボ対照期ときわめて類似していた。

Leonardi氏は、「中等度~重度の乾癬に対するustekinumabの12週ごとの投与法は、多くの症例において少なくとも1年間は効果が持続しており、安全に投与可能なことが示唆された」と結論し、「この高い有効性は、現在使用されている生物学的製剤に匹敵する」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)