研究の無駄は簡単・安価な補正で回避可能/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/20

 

 研究が無駄になるのは、方法論が不十分であることと関連しており、簡便かつ安価な補正により一部は回避できるとする報告が、フランス国立保健医学研究所(INSERM)のYouri Yordanov氏らにより発表された。2009年に発表された先行研究で、研究の85%が無駄になっており、大部分が不十分な方法論と関連しているとする報告があった。BMJ誌オンライン版2015年3月24日号掲載の報告より。

研究の無駄と方法論の関連を調べ、どれだけ回避できるかを検討
 研究グループは、コクランレビューに含まれる試験において研究の無駄と不十分な方法論の関連を評価するとともに、そのうちどれだけが回避できるのかを調べた。また第二の目的として、この回避可能な無駄を再評価するシミュレーション研究を行い、全試験が十分に報告されうるかを調べた。

 対象は、2012年4月~2013年3月に発表された、コクランレビューの主要アウトカムのメタ解析に組み込まれた試験。各試験のレビュー著者によるバイアスリスク評価を集め、バイアスリスクの高い1つ以上のドメインがある200試験を無作為収集し、バイアスリスクの再評価を行い、すべての関連する方法論的問題を特定した。

 各問題について、可能な補正を行い、さらに専門パネルによってそれら補正の可能性(簡便か否か)およびコスト評価も行われた。

 バイアスリスクの高い1つ以上のドメインがあるが、それらを費用を要さずにまたは少額費用で簡単に補正でき、すべてのドメインを低リスクに変えられる試験を、回避できる無駄がある試験と定義した。またシミュレーション研究では、全試験のバイアスリスクを再評価後、データの欠損による各ドメインの不明なリスクバイアスを評価した。リスクの高低を調べるために、複数の意見を取り入れた。

バイアスリスクが高い試験のうち96%は補正可能
 メタ解析205件、1,286試験において、556試験(43%)がバイアスリスクの高い1つ以上のドメインを有していた。

 そこから収集したサンプル200試験において、142試験は、高リスクであると確認され、25タイプの方法論的問題が特定された。

 補正が可能であったのは136試験(96%)であった。コストなしまたは少額で簡便に補正が可能であったのは71試験(50%)で、全ドメインを低リスクに変えることができたのは17試験(12%)であった。すなわち、1つ以上のハイリスクドメインを有する試験において、回避できる無駄は12%(95%信頼区間[CI]:7~18%)であることが示された。

 また、不完全な報告を修正することで、回避できる無駄は42%(95%CI:36~49%)と推定された。