脳梗塞、最新デバイスによる早期介入が有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/02/27

 

 CT灌流画像法(CT perfusion imaging:CTP)で近位部大脳動脈輪閉塞と救助可能な組織(salvageable tissue)の残存が確認された虚血性脳卒中患者では、ステント型血栓回収デバイスSolitaire FRを用いた早期血管内治療が、アルテプラーゼ(rt-PA)治療単独と比較して、再灌流や早期神経学的回復および機能的アウトカムを改善することが示された。オーストラリア・王立メルボルン病院のB.C.V. Campbell氏らが、無作為化試験EXTEND-IAを行い報告した。虚血性脳卒中の患者に対する血管内治療の試験報告にはばらつきがあることから、研究グループは、より最新の画像診断やデバイスを用いた早期の介入が、アウトカムを改善するのかについて検討した。NEJM誌オンライン版2015年2月11日号掲載の報告より。

24時間時点の再灌流と3日時点の早期神経学的改善の2つが主要アウトカム
 試験は、虚血性脳卒中患者を、発症後4.5時間以内のrt-PA(0.9mg/kg体重)治療とSolitaire FRによる血管内治療を受ける群(血管内治療群)、またはrt-PA治療単独を続ける群(rt-PA治療単独群)に無作為に割り付けて行われた。

 全患者はCTPにて、内頸動脈または中大脳動脈の閉塞と救助可能な脳組織と70mL未満の虚血中心部(ischemic core)を有していることが確認された。

 主要アウトカムは2つで、24時間時点の再灌流と早期の神経学的改善(3日時点でNIHSS[National Institutes of Health Stroke Scale]スコアが8ポイント以上低下、またはスコアが0か1)であった。副次アウトカムには、修正Rankin尺度で評価した90日時点の機能スコアなどが含まれた。

主要アウトカムいずれも、血管内治療群で有意に改善
 試験は計画では、オーストラリアとニュージーランドの14施設で100例を登録して行う予定であったが、70例(各群35例)が無作為化を受けた時点で有効性が確認されたとして早期終了となった(2012年8月~2014年10月、10施設[うち1施設がニュージーランド])。

 結果、24時間時点で虚血部位の再灌流が認められた割合は、rt-PA治療単独群よりも血管内治療群が有意に高かった(中央値100% vs. 37%、p<0.001)。

 脳卒中発症後、中央値210分で開始した血管内治療は、3日時点の早期神経学的改善者の割合を有意に増大した(80% vs. 37%、p=0.002)。また、90日時点の機能アウトカムも改善し、機能的独立に至った患者の割合は血管内治療群が有意に多かった(修正Rankin尺度のスコア0~2:71% vs. 40%、p=0.01)。

 死亡率(血管内治療群9% vs. rt-PA治療単独群20%、p=0.31)や症候性脳内出血(発生なし[0%] vs. 6%、p値NA)については、有意差はみられなかった。

(武藤まき:医療ライター)