2型糖尿病と関連するがんは?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/01/23

 

 ギリシャ・ヨアニナ大学医学部のKonstantinos K Tsilidis氏らは、2型糖尿病とがんの関連について、メタ解析/システマティックレビューを包括的レビュー(umbrella review)するという手法で大規模な検討を行った。その結果、大半の試験で関連性が有意であると強く主張していたが、バイアスの可能性がなく強固なエビデンスで関連性が支持されるのは、乳がん、肝内胆管がん、大腸がん、子宮体がんの発症リスクにおいてのみと少数であったことを報告した。BMJ誌オンライン版2015年1月2日号掲載の報告より。

2型糖尿病とがん発症/死亡リスクを評価したメタ解析を検索して包括的レビュー
 研究グループは、ヒトを対象に、2型糖尿病とがん発症またはがん死亡リスクとの関連を調べた観察試験のメタ解析またはシステマティックレビューを適格として、PubMed、Embase、Cochrane database of systematic reviewsおよび参考文献を手動検索し該当論文を探索した。

 その結果、20部位のがん発症リスクとの関連、および7部位のがん死亡との関連を評価したメタ解析論文を特定した。これら27本のメタ解析には、474本の試験が含まれていた。

20部位のうち発症リスクのエビデンスが強固なのは4部位
 分析の結果、がん発症リスクとの関連を評価していたメタ解析20本(74%)で、推定要約ランダム効果がp=0.05で有意であった。また、p≦0.001の閾値を用いた評価でランダム効果が有意であった11本すべての論文で、糖尿病患者は非糖尿病患者と比較して、がん発症リスク増大が報告されていた。

 しかし、全メタ解析27本のうち、1,000例以上のエビデンスを基に評価しており、ランダムおよび固定効果の両者がp≦0.001で有意であったのは、7本(26%)のみであった。

 さらにそのうち、不均一性が重大ではなかった(I2>75%)のは6本(22%)のみで、これらにおいて、2型糖尿病と乳がん、胆管がん(肝内および肝外)、大腸がん、子宮体がん、さらに胆嚢がん発症リスクとの関連が示されていた。95%予測区間値の無効値を除外した結果、関連が示されたのは、乳がん、肝内胆管がん、大腸がん、子宮体がんの4つのみであった。

(武藤まき:医療ライター)