ニボルマブ、未治療の悪性黒色腫に有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/01

 

 BRAF遺伝子変異のない悪性黒色腫患者の1次治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(商品名:オプジーボ)は、標準的化学療法薬ダカルバジン(同:ダカルバジン)に比べ1年生存率(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、フランス・Gustave Roussy研究所のCaroline Robert氏らの検討で示された。ニボルマブは、プログラム死1(PD-1)受容体と2つのリガンド(PD-L1、PD-L2)との相互作用を選択的に遮断する完全ヒト型抗PD-1モノクローナルIgG4抗体である。イピリムマブ抵抗性の悪性黒色腫を対象とした第III相試験において、ニボルマブは化学療法に比べ高い奏効率(32 vs. 11%)が確認されていた。NEJM誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告。

1次治療での有用性を無作為化試験で評価
 本研究は、BRAF遺伝子変異のない悪性黒色腫患者に対する1次治療におけるニボルマブの有用性を評価する二重盲検無作為化第III相試験。対象は、年齢18歳以上、全身状態(ECOG PS)が0~1で、BRAF遺伝子変異がなく、未治療のStage III/IVの悪性黒色腫患者であった。

 被験者は、ニボルマブ(3mg/kg、2週ごと)+プラセボ(3週ごと)を投与する群またはダカルバジン(1,000mg/m2、3週ごと)+プラセボ(2週ごと)を投与する群に無作為に割り付けられた。治療は病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続された。

 主要評価項目はOSとし、副次評価項目は治験担当医判定によるPFS、客観的奏効率(ORR)などであった。主要評価項目については99.79%信頼区間(CI)を算出し、p値(log-rank検定)が<0.0021の場合に統計学的有意差ありと判定した。

 2013年1月~2014年2月までに、欧州、イスラエル、オーストラリア、カナダ、南アフリカの80施設に418例が登録され、ニボルマブ群に210例、ダカルバジン群には208例が割り付けられた。全体の年齢中央値は65歳、男性が58.9%、欧州・カナダの患者が69.4%で、PS 0が64.4%、遠隔転移Stage M1cが61.0%、PD-L1陽性は35.4%であった。

1年OS:72.9 vs. 42.1%、PFS中央値:5.1 vs. 2.2ヵ月
 OS中央値は、ニボルマブ群は未到達、ダカルバジン群は10.8ヵ月であった。1年OSはニボルマブ群が72.9%と、ダカルバジン群の42.1%に比べ有意に良好であった(死亡に関するハザード比[HR]:0.42、99.79%CI:0.25~0.73、p<0.001)。

 PFS中央値はニボルマブ群が5.1ヵ月であり、ダカルバジン群の2.2ヵ月に比し有意に延長した(HR:0.43、95%CI:0.34~0.56、p<0.001)。また、ORRもニボルマブ群が40.0%(完全奏効率:7.6%、部分奏効率:32.4%)、ダカルバジン群は13.9%(同:1.0%、13.0%)であり、有意な差が認められた(オッズ比[OR]:4.06、p<0.001)。

 ニボルマブのダカルバジンに対する生存ベネフィットは、事前に規定されたすべてのサブグループ(年齢、性別、遠隔転移Stage、PS、脳転移の既往、乳酸脱水素酵素[LDH]値、PD-L1など)に一貫して認められた。

 ニボルマブ関連の頻度の高い有害事象として、疲労(19.9%)、そう痒(17.0%)、悪心(16.5%)などが認められた。Grade 3/4の治療関連有害事象の発現率はニボルマブ群が11.7%、ダカルバジン群は17.6%であった。治療中止の原因となった有害事象はそれぞれ6.8%、11.7%にみられた。

 著者は、「ニボルマブは、ダカルバジンに比べ死亡のリスクを58%低減した。1年OSやORR、安全性プロファイルなどは既報の結果と一貫性が認められた」とまとめている。現在、未治療の患者を対象に、ニボルマブ単剤、ニボルマブ+イピリムマブ併用、イピリムマブ単剤を比較する第III相試験(CheckMate 067試験)が進行中だという。

(菅野守:医学ライター)