降圧薬投与量の自己調整の有用性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/11

 

 心血管疾患高リスクの高血圧患者の血圧管理について、家庭血圧(自己モニタリング)と降圧薬の自己調整投与を組み合わせた管理は、外来受診時に血圧を測定し医師が投薬を調整する通常ケアによる管理と比較した結果、12ヵ月時点の収縮期血圧は前者のほうが低下したことが示された。英国・オックスフォード大学のRichard J. McManus氏らが行った無作為化試験TASMIN-SRの結果、報告された。これまでに同自己管理手法の有用性は報告されていたが、高リスク患者を対象としたデータは報告されていなかった。JAMA誌2014年8月27日号掲載の報告より。

家庭血圧+降圧薬自己調整vs. 通常ケア管理について無作為化試験
 試験は2011年3月~2013年1月に非盲検にて、プライマリ・ケアを受けている英国内59施設、552例の患者を対象に行われた。被験者は35歳以上で、脳卒中、冠動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病の病歴があり、試験ベースライン時の血圧値が130/80mmHg以上であった。

 介入群(276例)には、自己モニタリングと降圧薬自己調整投与を組み合わせた血圧管理を行い、試験期間中の目標血圧値は、外来受診時130/80mmHg、家庭血圧は120/75mmHgとした。対照群には、健康管理担当医(health care clinician)による定期的な血圧測定と必要に応じた降圧薬の調整という通常ケアを行った。

 主要アウトカムは、12ヵ月時点の受診時の介入群と対照群の収縮期血圧値の差とした。

12ヵ月時点の収縮期血圧、自己管理群のほうが9.2mmHg低い
 主要アウトカムのデータは、450例(81%)について入手できた。

 ベースライン時の平均血圧値は、介入群(220例)143.1/80.5mmHg、対照群(230例)143.6/79.5mmHgであった。12ヵ月時点では、それぞれ128.2/73.8mmHg、137.8/76.3mmHgであり、ベースライン時から低下した血圧値の両群差は、収縮期血圧が9.2mmHg(95%信頼区間[CI]:5.7~12.7mmHg)、拡張期血圧が3.4mmHg(95%CI:1.8~5.0mmHg)だった。

 データを入手できなかった全被験者についての分析でも、同様の結果が得られた。すなわち、ベースライン時の平均血圧値は、介入群(276例)143.5/80.2mmHg、対照群(276例)144.2/79.9mmHg、12ヵ月時点ではそれぞれ128.6/73.6mmHg、138.2/76.4mmHgであり、両群差は収縮期血圧が8.8 mmHg(95%CI:4.9~12.7mmHg)、拡張期血圧が3.1mmHg(95%CI:0.7~5.5mmHg)だった。

 すべてのサブグループ比較においても同様の結果が得られ、過剰な有害事象もみられなかった。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来