果物・野菜の摂取量が多いほど長寿に/BMJ

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/08/11

 

 果物や野菜の摂取量が多いほど全死因死亡リスクが低下し、とくに心血管死が有意に抑制されることが、中国・山東大学のXia Wang氏らの検討で示された。がん死リスクへの影響はなく、1日5食以上になると抑制効果はなくなることも確認された。慢性疾患の予防における重要な健康食として、果物や野菜を多く摂取することが広く推奨されている。その一方で、果物や野菜の摂取と死亡リスクの関連を評価した試験は多いものの、この関連を摂取量の程度に基づいて検証したメタ解析はこれまで行われていなかったという。BMJ誌2014年7月29日号掲載の報告。

摂取量に基づく死亡リスクをメタ解析で評価
 研究グループは、果物や野菜の摂取量と全死因死亡、心血管死、がん死の関連を検討するために、臨床試験の論文を系統的にレビューし、メタ解析を行った。

 データの収集には医学関連データベース(~2013年8月30日)を用い、選出された論文の参考文献リストも調査した。対象は、果物や野菜の摂取量の程度に基づき全死因死亡、心血管死、がん死のリスクを予測した前向きコホート試験とした。

 ランダム効果モデルを用いて全試験の統合ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出。果物と野菜を合わせた解析と、それぞれ個別の解析を行った。

リスクが5%ずつ低下、高い異質性や出版バイアスに注意
 日本の3試験を含む16の前向きコホート試験に登録された83万3,234人が解析の対象となった。フォローアップ期間は4.6~26年で、この間に5万6,423人が死亡し、このうち心血管死が1万1,512人、がん死が1万6,817人含まれた。

 果物や野菜の摂取量が多いほど全死因死亡のリスクが有意に低下した。すなわち、果物と野菜の摂取が1日に1食分(1サービング)増えるごとに全死因死亡リスクが平均5%ずつ低下した(HR:0.95、95%信頼区間[CI]:0.92~0.98、p=0.001)。ただし、異質性が有意に高かった(p<0.001、I2=82%)。また、Begg’s rank correlation testでは出版バイアスを認めなかった(p=0.76)が、Egger’s linear regression testでは有意な出版バイアスの可能性が示唆された(p=0.006)。

 1日に果物1食分(HR:0.94、95%CI:0.90~0.98、p=0.002)および野菜1食分(同:0.95、0.92~0.99、p=0.006)が増えた場合にも、全死因死亡リスクがそれぞれ平均6%および5%ずつ有意に低下した。しかし、いずれも異質性が有意に高く(果物:p<0.001、I2=77%、野菜:p<0.001、I2=86%)、出版バイアスは野菜ではみられなかったが、果物で認められた(Egger’s linear regression test:p=0.02)。

 全死因死亡リスクは果物、野菜の摂取量依存性に低下し、1日4食までは有意差がみられた。一方、5食以上を摂取してもそれ以上リスクは低下せず、1日5食が閾値と考えられた。

 心血管死のリスクは果物や野菜の摂取が1日1食分増えるごとに4%有意に低下した(HR:0.96、95%CI:0.92~0.99、p=0.02)。果物1食分(同:0.95、0.91~1.00、p=0.03)、野菜1食分(0.96、0.93~0.99、p=0.01)増えた場合にも、それぞれ有意なリスク低下が認められた。

 これに対し、果物や野菜の摂取が1日1食分増えても、がん死のリスクとの間には明確な関連はみられなかった(HR:0.97、95%CI:0.90~1.03、p=0.31)。果物1食分(同:0.99、0.97~1.00、p=0.06)、野菜1食分(同:0.99、0.97~1.01、p=0.19)との間にも有意な関連はなかった。

 著者は、「果物や野菜の摂取量が多いほど全死因死亡リスクが低下し、なかでも心血管死が抑制されるとのエビデンスが得られた」とし、「これらの結果は、健康の増進や寿命の延長のために果物や野菜の摂取量を増やすべきとの現行の推奨を支持するもの」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)