メトホルミンへの追加薬、インスリンはSU薬よりも予後が不良/JAMA

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メトホルミンへの追加薬、インスリンはSU薬よりも予後が不良/JAMAのイメージ

 メトホルミン単剤で治療を開始した糖尿病患者にインスリン製剤を追加投与すると、スルホニル尿素(SU)薬を追加した場合に比べ、非致死的心血管疾患や全死因死亡のリスクが高いことが、米国・ヴァンダービルト大学のChristianne L Roumie氏らの検討で示された。糖尿病治療では、メトホルミンのみではHbA1c≦7%の達成が難しく、追加薬を要することが多いが、適切な薬剤選択のエビデンスは少ない。医師は、良好な血糖コントロールや膵β細胞保護作用への期待から早期にインスリン製剤を導入する傾向が高まっているが、患者は体重増加や低血糖への懸念から導入を遅らせたがることが多いという。なお、同氏らはインスリン製剤のほうがリスクが低いとの仮説のもとで本研究を開始している。JAMA誌2014年6月11日号掲載の報告。

追加薬の違いによる転帰の差を後ろ向きに解析
 研究グループは、メトホルミンで治療を開始し無効となった糖尿病患者において、追加薬剤としてインスリン製剤を導入した場合とSU薬を使用した場合の転帰をレトロスペクティブに評価した。

 退役軍人健康庁(VHA)、メディケア、国民死亡記録(NDI)のデータベースを使用し、2001~2008年の糖尿病患者のデータを抽出した。患者の背景因子に基づく傾向スコアマッチング法を用い、メトホルミン+インスリン群とメトホルミン+SU薬群に1対5の割合でマッチングした。

 Cox比例ハザード周辺構造モデルを用いて、治療群間の複合転帰(非致死的急性心筋梗塞[AMI]、脳卒中による入院、全死因死亡)のリスクを比較した。

AMIと脳卒中の頻度は同等、全死因死亡に大きな差
 2001~2008年に17万8,341例がメトホルミンで治療を開始し、そのうち2,948例がインスリン製剤を、3万9,990例がSU薬を追加していた。傾向スコアマッチング法でメトホルミン+インスリン群の2,436例とメトホルミン+SU薬群の1万2,180例がマッチングされた。

 両群ともに、薬剤追加時の年齢中央値は60歳、男性が95%であり、メトホルミン単剤の投与期間中央値は14ヵ月、HbA1c中央値は8.1%であった。薬剤追加後のフォローアップ期間中央値は14ヵ月。

 イベント発生数は、メトホルミン+インスリン群が172件、メトホルミン+SU薬群は634件で、1,000人年当たりの頻度はそれぞれ42.7件、32.8件であり、インスリンを追加したほうが転帰が不良であった(補正ハザード比[aHR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.07~1.58、p=0.009)。

 AMIと脳卒中の頻度は両群間で同等であったのに対し、全死因死亡がインスリン追加群で高頻度に発生していた。すなわち、AMI+脳卒中のイベント発生数はそれぞれ41件、229件で、1,000人年当たり10.2件、11.9件(aHR:0.88、95%CI:0.59~1.30、p=0.52)、全死因死亡はそれぞれ137件、444件で、1,000人年当たり33.7件、22.7件(aHR:1.44、95%CI:1.15~1.79、p=0.001)であった。

 副次評価項目であるAMI、脳卒中による入院、心血管死の複合転帰のイベント発生数は、メトホルミン+インスリン群が54件、メトホルミン+SU薬群は258件で、1,000人年当たりの頻度はそれぞれ22.8件、22.5件と両群で同等だった(aHR:0.98、95%CI:0.71~1.34、p=0.87)。

 著者は、「インスリン製剤の使用に関連するリスクの原因を解明するためにさらなる検討を要する」とし、「この知見は、経口投与が可能な患者ではインスリン製剤とSU薬の効果は同等とする勧告に疑問を投げかけるもの」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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コメンテーター : 住谷 哲( すみたに さとる ) 氏

公益財団法人日本生命済生会日本生命病院 糖尿病・内分泌センター

センター長

J-CLEAR評議員

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