スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/14

 

 臨床ガイドラインによって、スタチン投与の対象となる人は大きく異なることが判明した。2013年に発表された新たな米国心臓病学会と米国心臓協会(ACC/AHA)ガイドラインを順守した場合には、55歳以上男性コホートの約96%に相当する一方で、従来の米国高脂血症治療ガイドライン(Adult Treatment Panel III:ATP III)に則した場合は、スタチン投与の対象者は男性の52%に留まるという。オランダ・エラスムス大学医療センターのMaryam Kavousi氏らが、約5,000例のコホート試験を基に分析して明らかにした。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。

「Rotterdam Study」の被験者4,854例を対象に各臨床ガイドラインを適用
 研究グループは、オランダのロッテルダム在住の55歳以上に行った住民ベースの前向きコホート試験「Rotterdam Study」の被験者4,854例を対象に、各臨床ガイドラインを適用した場合のスタチン投与対象者を割り出すなどの検討を行った。被験者の平均年齢は、65.5歳(SD 5.2)だった。

 結果、同集団に対してACC/AHAガイドラインを順守した場合、スタチン投与の対象となったのは男性の96.4%(1,825例)と女性の65.8%(1,523例)だった。

 一方、ATP IIIガイドラインを適用した場合、男性52.0%(985例)、女性35.5%(821例)に、欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインでは、66.1%(1,253例)、39.1%(906例)と、いずれもACC/AHAガイドラインとの間に大きな格差があった。

3種ガイドラインのリスクモデル、イベント発生を過剰予測
 また、ACC/AHAリスクモデルでは、男性の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)イベント発生率の予測値は21.5%だったのに対し、実際の累積ASCVDイベント発生率は12.7%、女性ではそれぞれ11.6%と7.9%と、予測値が実測値を上回っていた。ATP IIIモデル、ESCモデルでも、冠動脈性心疾患(CHD)やアテローム動脈硬化性心血管疾患(CVD)死亡イベントについて、同様の過大予測が認められた。

 ACC/AHAリスクモデルのASCVDに関するC統計量は、男性が0.67、女性が0.68だった。ATP IIIモデルのCHDに関するC統計量は、それぞれ0.67と0.69、ESCモデルのCVD死亡に関するC統計量は、それぞれ0.76と0.77と、いずれも改善の余地があったという。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)