出産後の血栓イベント、高リスクはいつまで?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/05

 

 出産後の血栓イベントリスクは、少なくとも12週間は有意に高く続くことが明らかにされた。ただし、6週以降の絶対リスクの増加は小さいことも判明した。産後の女性は、血栓イベントリスクが増大することが知られている。米国・コーネル大学のHooman Kamel氏らは、その期間について、従来定義されている6週間以降どの程度継続するかを明らかにするため、後ろ向きクロスオーバーコホート研究を行った。NEJM誌オンライン版2014年2月13日号掲載の報告より。

出産後6週間単位で1年後の6週間との発生を比較
 研究グループは、カリフォルニア州にある非連邦救急治療部門および急性期病院を退院した全患者請求データから、2005年1月1日~2010年6月30日に、出産のために入院した女性を特定して検討を行った。

 虚血性脳卒中・急性心筋梗塞・静脈血栓塞栓症を複合主要アウトカムとし、診断コードを用いてその発生を特定し、その後、条件付きロジスティック回帰分析法を用いて、出産後6週間単位で、1年後の同期間における発生と比較し、初発血栓イベントの可能性について評価した。

出産後6週間10.8倍、7~12週2.2倍
 評価には、初回出産女性168万7,930例が含まれた。このうち出産後1年+最長24週の間に、1,015例が血栓イベントを発生した(脳卒中248例、心筋梗塞47例、静脈血栓塞栓症720例)。

 初発血栓イベントのリスクは、出産後6週間は1年後6週間と比較して顕著に高かった。発生イベント数は、411件vs. 38件で、絶対リスク差は10万分娩当たり22.1件(95%信頼区間[CI]:19.6~24.6)、オッズ比は10.8(同:7.8~15.1)だった。

 出産後7~12週も、1年後の6週間と比較してリスクの増大が有意であったが、その程度はわずかであった。発生イベント数は、95件vs. 44件で、絶対リスク差は10万分娩当たり3.0件(同:1.6~4.5)、オッズ比は2.2(同:1.5~3.1)だった。

 血栓イベントリスクの有意な増大は、出産後12週以降ではみられなかった。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事