生体腎提供によって末期腎不全のリスクは高まるか/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/26

 

 生体腎移植のドナーが末期腎不全(ESRD)を有するリスクは、適合健常非ドナーと比べ有意に高いが、非スクリーニング一般集団と比べると、絶対リスクの増加はわずかであることが明らかにされた。米国ジョンズ・ホプキンス大学のAbimereki D氏らが、米国の生体腎ドナー9万6,217例を追跡調査して報告した。これまで腎ドナーのESRDリスクについて、一般集団との比較は行われておりリスクが高いことが報告されていた。しかし、非スクリーニング一般集団という高リスク集団との比較は行われておらず、ドネーション後の後遺症をより適切に推定しうるスクリーニング健常非ドナーとの検討も十分ではなかった。著者は、「今回の結果は、生体腎提供を考えている人への検討材料の一助となるだろう」とまとめている。JAMA誌2014年2月12日号掲載の報告より。

全米腎ドナー9万6,217例を最長15年追跡
 研究グループは、ESRDのリスクについて、腎ドナーと健常非ドナーコホート(腎疾患リスクが低く、生体移植に対する支障がないことをスクリーニングで確認)を比較する検討を行った。また、人口統計学的(年齢、人種など)層別化による比較も行った。

 被験者は、1994年4月~2011年11月に生体腎提供を行った全米9万6,217例の腎ドナーと、第3次全米健康栄養調査(NHANES III)の参加者2万24例(うち健常非ドナー参加者は9,364例)。後者の9,364例のデータから、前者と比較するために適合させた健常非ドナーコホート(9万6.217例)を作成した。メディケア&メディケイドセンターのデータからESRDの発症、維持透析開始、移植リスト登録、および生体もしくは死体腎移植を受けたかについて確認し、最長15.0年追跡し検討した(腎ドナー群7.6年、適合健常非ドナー群15.0年)。

 主要評価項目は、ESRDの累積発生率と生涯リスクだった。

推定生涯リスク、1万当たりドナー90、健常非ドナー14、一般集団326
 追跡期間中、生体腎ドナーでESRDを発症したのは99例、発症までの期間はドネーション後平均8.6年(SD 3.6年)だった。一方、適合健常非ドナーでは36例※で、発症までの期間は登録後10.7年(SD 3.2年)だった。(※健常非ドナー9,364例におけるESRDイベント発生17例より算出)

 ドナー群の術後15年時点のESRD発症の推定リスクは、1万当たり30.8(95%信頼区間[CI]:24.3~38.5)、同期間の適合健常非ドナー群は3.9(同:0.8~8.9)だった(p<0.001)。

 同様のドナーと適合健常非ドナー間の推定リスク差は、人種別にみた場合も有意な差がみられた。格差は黒人で最も大きく、ヒスパニックが続き,白人で最も小さかった。

 また、生体腎ドナー群における累積発生率は、年齢によって有意差がみられた。50歳未満と比べて50歳以上で有意に高く(p<0.001)、また、累積発生率が最も低かったのは40~49歳群で1万当たり17.4、次いで18~39歳群29.4(対40~49歳群とのp=0.06)、50~59歳群54.6、60歳以上群70.2だった。累積発生率について、血縁の有無で有意差はみられなかった(p=0.15)。また追跡期間中の経時的傾向もみられていない(傾向p=0.92)。

 一方、推定生涯リスクについてみると、1万当たり生体腎ドナー群は90、健常非ドナー群は14、非スクリーニング非ドナー(一般集団)では326であった。

(武藤まき:医療ライター)