新規経口抗凝固薬4種vs.ワルファリン-心房細動患者のメタ解析-/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/25

 

 心房細動患者の脳卒中・全身性塞栓イベントや総死亡リスクについて、4種の新規経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)はワルファリンに比べて2割弱抑制することが、被験者総数7万例超のメタ解析で明らかになった。一方、消化管出血リスクは、ワルファリンに比べ約25%増大した。米国・ブリガム&ウィメンズ病院/ハーバードメディカルスクールのChristian T Ruff氏らが、4種に関する第3相臨床試験を組み込んで解析した結果、報告した。Lancet誌オンライン版2013年12月4日号掲載の報告より。

脳卒中・全身性塞栓イベント、虚血性脳卒中、全死因死亡などのリスクを比較
 研究グループは2009年1月~2013年11月にかけてMEDLINEによる文献検索を行い、心房細動患者を対象に新規経口抗凝固薬とワルファリンの効果を調べた第3相の無作為化比較試験について、メタ解析を行い、有効性を比較した。「RE-LY」(ダビガトランが関係した試験)、「ROCKET AF」(リバーロキサバン)、「ARISTOTLE」(アピキサバン)、「ENGAGE AF–TIMI 48」(エドキサバン)の4試験、被験者総数7万1,683例が、解析に組み込まれた。

 主要アウトカムは、脳卒中または全身性塞栓イベント、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、全死因死亡、心筋梗塞、大出血、頭蓋内出血、消化管出血だった。

 被験者のうち新規経口抗凝固薬を服用したのは4万2,411例、ワルファリンを服用したのは2万9,272例だった。

脳卒中・全身性塞栓イベントリスクは19%減少、死亡リスクは1割減少
 分析の結果、脳卒中または全身性塞栓イベント発生率は、新規経口抗凝固薬群がワルファリン群に比べ、19%減少した(リスク比[RR]:0.81、95%信頼区間[CI]:0.73~0.91、p<0.0001)。その主な理由は、出血性脳卒中の発生率が51%減少したことによるものだった(RR:0.49、95%CI:0.38~0.64、p<0.0001)。

 また、新規経口抗凝固薬群はワルファリンに比べ、全死因死亡(同:0.90、0.85~0.95、p=0.0003)、頭蓋内出血(同:0.48、0.39~0.59、p<0.0001)のリスクも有意に低下した。一方で、消化管出血リスクは約25%増大した(同:1.25、1.01~1.55、p=0.04)。

 低用量新規経口抗凝固薬レジメンでは、脳卒中または全身性塞栓イベント発生率はワルファリンと同等だった(同:1.03、0.84~1.27、p=0.74)。しかし、虚血性脳卒中発生リスクについては、ワルファリンより3割弱増大した(同:1.28、1.02~1.60、p=0.045)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事