ワルファリン投与量を遺伝子ガイドにより調整してみた/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/12/05

 

 抗凝固療法コントロールについて、薬理遺伝学的ベースの遺伝子ガイドによりワルファリン投与量を調整して行っても、治療開始4週間の改善はみられなかったことが大規模無作為化試験の結果、示された。米国・ペンシルベニア大学のStephen E. Kimmel氏らが報告した。遺伝子ガイド(薬理遺伝学的をベースとした)によるワルファリン投与法は、これまで小規模臨床試験および観察試験で検討されたのみで、臨床における有用性は曖昧であった。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

1,015例を遺伝子ガイド群と臨床ガイド群に無作為化
 試験は多施設共同無作為化二重盲検法にて行われた。研究グループはワルファリン投与を受ける1,015例の患者のワルファリン量について、治療開始5日間に、臨床的変数と遺伝子データによる投薬アルゴリズムで決定する群(遺伝子ガイド群514例)と、臨床的変数のみで決定する群(臨床ガイド群501例)に割り付けて検討した。

 全患者と担当医は4週間の治療期間中、ワルファリン投与量を知らされなかった。

 主要アウトカムは、治療4~5日から28日の間に、国際標準比(INR)が治療域を維持していた時間の割合とした。

両群のINR治療域達成時間割合に有意差みられず
 結果、4週時点でINRが治療域を維持した時間の割合は、遺伝子ガイド群45.2%、臨床ガイド群45.4%で、有意差はみられなかった(補正後平均差:-0.2%、95%信頼区間[CI]:-3.4~3.1、p=0.91)。

 また、1mg/日以上の予測用量の有意差も両群間でみられなかった。

 一方で、投与量調整と人種間には有意な相互作用がみられた(p=0.003)。黒人患者では、同達成割合が、臨床ガイド群よりも遺伝子ガイド群のほうが有意に低値であった(平均差:-8.3%、95%CI:-15.0~-2.0、p=0.01)。

 INR 4超、重大出血、血栓塞栓症の複合アウトカムの発生率は、投与量調整による有意差はみられなかった。

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事