女性の腹圧性尿失禁、初回療法は手術が優れる/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/09

 

 女性の腹圧性尿失禁に対する初回療法として、中部尿道スリング手術を行ったほうが理学療法(骨盤底筋訓練など)を行うよりも、1年時点の主観的改善率、および主観的・客観的治癒率が高いことが、多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJulien Labrie氏らが報告した。腹圧性尿失禁に対しては、理学療法を第一選択治療とすることとされており、理学療法が失敗した場合に手術療法を行うことが推奨されている。一方で、初回療法としてこれら2つのオプションを比較した無作為化試験によるデータは不足していた。NEJM誌2013年9月19日号掲載の報告より。

手術群と理学療法群に割り付け1年後の主観的改善率を比較
 試験は、4大学19病院から被験者(35~80歳女性、腹圧性尿失禁が中等度~重度)を募って行われた。被験者を無作為に、手術群と理学療法群に割り付け、それぞれクロスオーバーでの受療も可能とした。

 主要アウトカムは、12ヵ月時点でPatient Global Impression of Improvement(PGI-I)を用いて測定した主観的改善とした。

初回手術群と、理学療法群→手術を受けた被験者とのアウトカムは同程度
 初回療法として、手術群に230例、理学療法群に230例が無作為に割り付けられた。そのうち理学療法群の49.0%が、また手術群の11.2%がクロスオーバーしての治療を受けた。

 intention-to-treat解析において、主観的改善率は、手術群90.8%、理学療法群64.4%であった(絶対差:26.4ポイント、95%信頼区間[CI]:18.1~34.5)。

 また主観的治癒率は、手術群85.2%、理学療法群53.4%(同:31.8ポイント、22.6~40.3)であり、客観的治癒率は、同76.5%、58.8%(同:17.8ポイント、7.9~27.3)だった。

 事後のプロトコル解析の結果、手術群にクロスオーバーした被験者のアウトカムは、最初から手術群に割り付けられた被験者のアウトカムと同程度であることが示された。また、それら手術を受けた被験者のアウトカムは、手術群にクロスオーバーせず手術を受けなかった被験者のアウトカムよりも優れていた。