エポエチンαの有効性と安全性に関する知見

提供元:
ケアネット

エポエチンαの有効性と安全性に関する知見のイメージ

重症患者によくみられる貧血に対して施行される赤血球輸血療法は、予後不良と関連している。そこでHoward L. Corwin氏らエポ治験グループは、「遺伝子組換え型ヒトエリスロポエチン(エポエチンα)の投与が赤血球輸血の必要性を減少させる」との仮説を立て、前向き臨床試験を行った。NEJM誌9月6日号の報告より。

プラセボと有意差なし


試験に登録されたのは、内科、外科、外傷で集中治療室に入室後48時間から96時間の患者1,460例。被験者はエポエチンα(40,000 U)またはプラセボを最高3週間、週1回投与され、140日間にわたって追跡された。主要エンドポイントは赤血球輸血を受けた患者の割合。2次エンドポイントは輸血された赤血球の単位数、死亡率、ベースラインからのヘモグロビン濃度の変化とされた。

その結果、エポエチンα投与はプラセボと比較して、赤血球輸血を必要とする患者数の減少も(エポエチンα群対プラセボ群の相対危険度:0.95、95%信頼区間:0.85- 1.06)、輸血された赤血球単位の平均値(±SD)の低下ももたらさなかった(エポエチンα群:4.5±4.6単位、プラセボ群:4.3±4.8単位、 P = 0.42)。

外傷患者で死亡率低下の可能性あるが、血栓イベント発生率上昇との関連も


しかし、29日目にヘモグロビン濃度について、エポエチンα群がプラセボ群よりも上昇していた(1.6±2.0 g/dL対1.2±1.8 g/dL、P<0.001)。また、エポエチンα群の死亡率が29日目から低下する傾向もみられた(補正ハザード比:0.79、95%信頼区間: 0.56-1.10)。これらの“効果”は、外傷患者の事前予測分析でも同様に認められた(同0.37、0.19-0.72)。また同様のパターンが 140日目に(同0.86、0.65-1.13)、特に外傷患者で認められている(同0.40、0.23-0.69)。

ただ一方で、エポエチンαが血栓イベント発生率上昇と有意に関連していたことも認められた(ハザード比:1.41、95%信頼区間:1.06~1.86)。

これらから、エポエチンαの投与は重篤な患者では赤血球輸血必要性の発生率を低下させないが、外傷患者の死亡率を低下させる可能性があること、エポエチンα療法は血栓イベントの発生率上昇と関連することが明らかになったと報告している。

(朝田哲明:医療ライター)

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)