長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/01

 

 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。

カフェイン添加物摂取と事故リスク減少の相関をリアルワールドで調査
 研究グループは、カフェイン添加物摂取と事故リスク減少が相関しているのかについて調べた。

 2008年12月~2011年5月の間、オーストラリアのニューサウスウェールズ州(人口730万人)とウェスタンオーストラリア州(230万人)において、長距離ドライバー(走行距離は原則200km以上)で、直近に警察が出動した事故を起こした人(症例群)と、過去12ヵ月は事故を起こしていない人(対照群)を特定して検討した。

 主要評価項目は、事故とカフェイン添加物との尤度で、年齢、健康障害、睡眠パターン、睡眠障害症状、走行距離、睡眠を取った時間、休憩の取得、夜間走行スケジュールなどの因子で調整した。

カフェイン摂取により事故リスクが63%低下
 被験者は、事故を起こした症例群530例、事故を起こしていない対照群517例の合計1,047例であった。99%(1,039例)が男性で、症例群のほうが、平均年齢が若く(44.2歳vs. 46.1歳、p=0.004)、過去5年で1回以上事故を起こしている人が多かった(p=0.002)。一方、対照群のほうが、肥満者が多く(p=0.047)、運転経験の平均年数が長かった(19.9年vs. 15.1年、p<0.001)。

 解析の結果、事故を起こしていない対照群では、43%がカフェイン添加物(お茶、コーヒー、カフェイン錠、エネルギードリンクなど)を眠気覚まし目的に摂取していた。一方で、違法な刺激物[アンフェタミン(通称:スピード)、3,4メチレンジオキシ・メタンフェタミン(通称:エクスタシー)]を使用していると回答した人はわずか3%であった。

 カフェイン添加物の高用量を摂取している人は、対照群のほうが多かった(例:エネルギードリンク以外のカフェイン添加物の高用量摂取:対照群37%vs. 症例群13%)。

 潜在的交絡因子で調整後、眠気覚ましを目的にカフェイン添加物を摂取している人では、非摂取者と比較して、事故リスクの尤度が63%抑制されていた(オッズ比:0.37、95%信頼区間:0.27~0.50)。

 これらの結果を踏まえて著者は、「カフェイン添加物の摂取は、商業長距離ドライバーのリスク減少と関連しており、休憩や睡眠を取るなど総合的な疲労マネジメント戦力が優先すべきことではあるが、カフェイン添加物を摂取することも運転の敏捷性維持の補助戦略として有用である可能性はある」と結論している。

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来