深部静脈血栓症発症に関与するSNPを同定

提供元:ケアネット

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公開日:2008/04/01

 

 深部静脈血栓症(DVT)の遺伝的素因を突き止めようと、ライデン大学医療センター(オランダ)臨床疫学部門Irene D. Bezemer氏らは、DVTと関連する一塩基多型(SNP)の同定を試みた。SNPは、DNAの4種類の塩基の並び方が人により部分的に異なっているもので、遺伝子の個人差を示すものとして疾病発症との関わり等の研究に応用されている。JAMA誌2008年3月19日号にて掲載。

19,682人分の遺伝子からDVTに強く関連する3つのSNPを同定
 Bezemer氏らはSNP同定のため3つの患者対照試験、すなわちLETS(1988~1992年:Leiden Thrombophilia Study)とMEGA-1、MEGA-2(MEGAスタディを分割:1999~2004年:Multiple Environmental and Genetic Assessment of Risk Factors for Venous Thrombosis)を用いた。

 まず計19,682人が参加したLETSを検討し、DVTと関連する1,206のSNPを同定。それら1,206のSNPをMEGA-1で検討(患者群1,398例と対照群1,757例)し、LETSとMEGA-1に共通する危険対立遺伝子として18のSNPを同定した。さらにそれらをMEGA-2で検討(患者群1,314例と対照群2,877例)し、9つのSNPを同定。そのうち3つのSNPにDVTとの強い関連が見いだされた[P<0.05、過誤発見率(false discovery rate):≦0.10]。

遺伝子CYP4V2 周辺では、DVTおよび血液凝固第 XI 因子両者との関連も
 3つのSNPとは、遺伝子CYP4V2のrs13146272、遺伝子SERPINC1のrs2227589、遺伝子GP6のrs1613662で、危険対立遺伝子頻度(risk allele frequency)はそれぞれ0.64、0.10、0.84。DVTオッズ比はそれぞれ、1.24(95%信頼区間:1.11~1.37)、1.29(同1.10~1.49)、1.15(同1.01~1.30)であった。

 さらに遺伝子CYP4V2部位の精査により、CYP4V2KLKB1F11の遺伝子で4つのSNPを同定。DVTとの関連(最高DVTオッズ比:1.39、95%信頼区間:1.11~1.74)、および血液凝固第 XI 因子の値(最高度増加8%、95%信頼区間:5~11%)との関連性を見いだした。

 Bezemer氏らは、「DVTと関連するいくつかの遺伝子でSNPを同定し、遺伝子CYP4V2 のrs13146272周辺では、DVTおよび血液凝固第 XI 因子両者との関連も見いだすことができた。今回の結果は、血栓リスクに共通遺伝変異が重要な役割を果たすことを示すものだ」と結論している。

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(医学ライター 武藤 まき)