I期肺癌の早期再発はDNAメチル化が関与

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/26

 

非小細胞肺癌(NSCLC)は、最適で早期の外科的治療にもかかわらず、多くの患者が再発性のNSCLCで死亡している。ジョンズ・ホプキンス病院(米国メリーランド州ボルティモア)のMalcolm V. Brock氏らは、遺伝子のメチル化が腫瘍再発に関与しているのではないかと調査し、遺伝子のプロモーター領域のメチル化が関与していることを突き止めた。NEJM誌2008年3月13日号より。

167例で7遺伝子のメチル化と腫瘍再発の関係を評価




I期のNSCLCで治癒切除を受け、術後40ヵ月以内に再発した51例の患者(症例患者)と、同じくI期のNSCLCで治癒切除を受け、40ヵ月以内に再発しなかった116例(対照群)について、年齢、NSCLCのステージ、性別、手術時期をベースにマッチングを行った。調査では、腫瘍とリンパ節の7つの遺伝子のメチル化が腫瘍再発と関係しているかどうかを検討の対象とした。

腫瘍および縦隔リンパ節でのp16CDH13のメチル化が再発と強い相関




多変量解析の結果、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子2A遺伝子p16、H-カドヘリン遺伝子CDH13Ras関連ドメインファミリー1遺伝子RASSF1A、大腸腺腫性ポリポーシス遺伝子APC――これら4遺伝子におけるプロモーター領域のメチル化が、腫瘍および組織学的に腫瘍陰性であるリンパ節における腫瘍再発と関連していることが認められた。NSCLCの病期、年齢、性別、人種、喫煙歴、腫瘍の組織学的特徴とは関係ない。

腫瘍および縦隔リンパ節のp16CDH13のプロモーター領域のメチル化は、癌の再発と強く相関していた。治癒切除を受けた群167例のオッズ比は15.50。これにI期のNSCLCをもつ検証群20例を統合した場合のオッズ比は25.25に上ったと報告している。

(武藤まき:医療ライター)