多因子介入が2型糖尿病の死亡率に与える影響

提供元:ケアネット

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公開日:2008/02/20

 

厳密な血糖コントロール、レニン-アンジオテンシン系遮断薬、アスピリン、脂質降下薬による集中的な多因子介入が、2型糖尿病でミクロアルブミン尿症を合併した患者の非致死性心血管疾患リスクを減少させることが明らかとなっている。この多因子介入が全原因死亡率と心血管系の原因による死亡率に影響を与えるかどうかについて、ステノ2研究(Steno-2 Study)の追跡調査結果が報告された。NEJM誌2008年2月7日号より。

リスクのある2型糖尿病患者を平均13.3年にわたって追跡調査




ステノ2研究は北欧で行われている多施設共同研究。2型糖尿病と持続的なミクロアルブミン尿症を併発する患者160例に、強化治療か通常治療かのいずれかをランダムに割り当て行われた。平均治療期間は7.8年。

患者はその後2006年12月31日まで平均5.5年間、引き続き観察された。追跡調査13.3年の主要エンドポイントは全死因死亡までの年月とした。

全死因死亡率、心血管系死亡率とも強化治療群で低下




強化治療を受けた群では24例が死亡したのに対し、通常治療を受けた群の死亡は40例だった(ハザード比0.54、95%信頼区間:0.32~0.89、P=0.02)。強化治療は心血管系の原因による死亡リスクの低下と相関し(同0.43、0.19~0.94、P=0.04)、心血管イベントも同様だった(同0.41、0.25~0.67、P<0.001)。

強化治療群の患者1例に末期腎疾患の進行がみられたのに対し、通常治療群では6例に進行がみられた(P=0.04)。網膜光凝固術を必要とした患者についても強化治療群のほうが少数だった(相対リスク0.45、95%信頼区間:0.23~0.86、P=0.02)。また、重大な副作用はほとんど報告されなかった。

これらの結果から研究グループは、2型糖尿病で追加リスクを有する患者への複数の薬剤を組み合わせた薬物療法および行動変容による集中的な介入は、血管合併症、全死因死亡率ならびに心血管系を原因とする死亡率に関して有益な効果を持続的にもたらすと報告している。

(朝田哲明:医療ライター)