従来療法に劣らぬ効果が報告された新・抗HIV療法

提供元:ケアネット

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公開日:2007/07/19

 

HIV感染症の治療は、抗HIV薬の多剤併用療法(HAART)の導入により劇的な進歩を遂げた。しかし、初回の抗HIV療法に失敗した感染者に対して、いかにウイルスを抑制し、その効果を長期間持続させていくかはいまだに大きな課題となっている。そのような中で開発された新規プロテアーゼ阻害薬(PI)のdarunavir(DRV:日本では申請中)について、 7月7日付のLancet誌に興味深い報告が発表された。ブラジル・サンパウロのCentro de Referência e Treinamento DST/AIDSのMadruga氏らが行った第III相無作為臨床試験「TITAN」の結果、darunavirとリトナビルの配合剤(DRV/r)が、現在繁用されているPI配合剤のロピナビル・リトナビル配合剤(LPV/r)に劣らぬ抗ウイルス効果を示すことが明らかにされたのだ。

48週投与で抗HIV療法経験者の77%に抗ウイルス効果


Madruga氏らは、これまでLPV/rが安全性と抗ウイルス効果の両面から、抗HIV療法経験者に対する治療法として最も有望視されてきたことから、 DRV/rをLPV/rと比較することとした。対象は、すでに抗HIV療法を経験しているが、ロピナビルの使用経験はない18歳以上のHIV感染者(血中HIV RNA量>1,000コピー/mL)とし、これらをDRV/r群(298例)とLPV/r群(297例)に無作為化して、48週間のウイルス抑制効果を検討した。

その結果、 治療48週後にウイルス抑制効果(血中HIV RNA量<400コピー/mLの達成)が認められたのは、DRV/r群が77%、LPV /r群が68%で、9%の差が見られた(per-protocol 解析)。

DRV/r群でいずれも小さかった変異発現率


またPI耐性につながる変異の発現率は、DRV/r群が21%、LPV/r群が36%。核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)耐性関連の変異発現率は、DRV/r群14%、LPV/r群27%と、いずれもDRV/r群のほうが小さかった。安全性に関する結果は、両群同等だった。

以上よりMadruga氏らは、ロピナビル未使用の抗HIV療法経験者に対し、DRV/rはLPV/rに劣らぬ抗ウイルス効果を示したとして、DRV/rをこれらのHIV感染者にする治療選択肢として考慮すべきだと結論づけている。