STEMI患者へのPCI施行例での偽陽性頻度

提供元:ケアネット

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公開日:2008/01/15

 



救急治療部の医師が心臓カテーテル室を起動させることができるのは、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者への処置を迅速に行う鍵となる戦略である。一方、STEMIが疑われ経皮的冠動脈形成術(PCI)を受けた患者に、“false-positive”(偽陽性)の頻度についてのデータは少ない。Minneapolis Heart Institute Foundation at Abbott Northwestern Hospital(アメリカ)のDavid M. Larson氏らは、STEMIが疑われ心カテ室を起動した患者の患者で有病率、病因と偽陽性の結果を評価した。JAMA誌2007年12月19日号にて掲載。

STEMI疑いで心カテ室を起動した1,345例を対象




本研究は、ミネソタでシステム化されているSTEMI患者へのPCI施行の搬送受け入れ体制で登録された患者を対象に行われた。解析対象となったのは、2003年3月から2006年11月までに登録された1,345例。

主要評価項目は、3つの判定基準(非冠動脈、重要な冠動脈疾患でない、心臓生物マーカー陰性)を用いて、STEMIの疑いで心カテ室を起動した患者における偽陽性率。

偽陽性へのPCI施行が一般的に起きている




血管撮影を受けたSTEMIが疑われた患者1,335例のうち、187例(14%、95%信頼区間:12.2%~16.0%)は非冠動脈で、127例(9.5%、同8.0%~11.2%)は有意な冠動脈疾患がなかった。

心臓生物マーカーレベルでは11.2%(95%信頼区間:9.6%~13.0%)で陰性だった。
マーカー結果と非冠動脈との組合せでは、患者の9.2%(95%のCI、7.7%-10.9%)が偽陽性だった。

30日死亡率は、非冠動脈群2.7%(95%信頼区間:0.4%~5.0%、P=0.33)、冠動脈群4.6%(同3.4%~5.8%)。

研究者らは、「偽陽性での心カテ室起動の頻度は、コミュニティで比較的一般的に起きている。最近強調されるdoor-to-balloon timesについて、この結果を考慮しなければならない」と注意を喚起している。

(武藤まき:医療ライター)