肥満者の健康リスクは改善されてはいない

提供元:ケアネット

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公開日:2007/11/20

 

近年の研究報告は、肥満者は1960年代以降死亡率および心血管系のリスク因子が減少しており健康が高まっている、という示唆を与えるものとなっている。それに対しペンシルベニア大学(アメリカ)のDawn E. Alley氏らは、肥満者は以前と比べ長期にわたって危険因子に耐えているだけで、健康どころか、むしろ半面で能力機能障害が増大しているのではないかと提言。肥満症と能力機能障害との経時変化に着目した関連性を検討した。JAMA誌11月7日号掲載より。

10年前と現在の能力機能障害を比較




本研究は、全米で一般・代表的な国民健康栄養調査(NHANES)の2つの調査期間(調査期間1:1988~1994年、調査期間2:1999~2004年)からBMI値を評価し抽出した、60歳以上9,928例を対象に行われた。

両期間調査で「困難」または「不可」と報告された2つの能力機能障害を主要評価項目として検討された。評価項目の1つは機能障害の程度(4分の1マイルのウォーキング、休みなく10ステップ歩行可能か、しゃがみ込むことが可能か、10ポンドのものを持ち運べるか、部屋と部屋との歩行移動、アームのない椅子からの立ち上がり)、もう1つは日常生活動作(ADL)の程度(移動、食事、着替え)。

機能障害を有する肥満者は10年で5.4ポイント増加




機能障害を有する肥満者は、調査期間1では36.8%だったが、調査期間2では42.2%で5.4%増加していた(P=0.03)。一方、非肥満者では増加はみられなかった。このため、機能障害を有する肥満者と正常体重者の比較では、調査期間1ではオッズ比1.78だったが、調査期間2では2.75に増していた。

ADL障害に関しては、肥満者に関して期間1と2の間に変化はみられなかったが、非肥満者では34%に減少(オッズ比0.66)。このため肥満者と正常体重者との比較で、調査期間1ではオッズ比1.31と有意差はあまりなかったが、調査期間2では2.05となっていた。

研究者らは、「本研究結果は、近年の心血管系の改善は肥満者の能力機能障害の減少に結びついてはおらず、ある種の能力機能障害のリスクは増大していることを示唆するものだった」と結論づけている。

(武藤まき:医療ライター)