心臓病患者にとってスリリングな行為は危険か?

提供元:
HealthDay News

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 心臓病患者は、ジェットコースターやレーシングカーの運転といったスリリング行為が原因で死に至ることはあるのだろうか?
 重い心臓病がありながらも、スリルを追い求める人たちを対象としたある研究で、その可能性は低いことが示された。研究の詳細は、米イェール大学包括的心不全プログラムのディレクターを務めるDan Jacoby氏らにより、2018年秋に開かれた米国心臓協会(AHA 2018、11月10~12日、米シカゴ)の年次集会で発表された。

 心臓病のある人に対して、スリリングな遊園地の乗り物には警告文が明示されている。また、家族や友人からはスカイダイビングに出かける計画は中止すべきだと説得されているかもしれない。しかし、こうした問題を科学的な手法で検証した研究は少ない。

 専門家の一人で、米テンプル大学の心理学者であるFrank Farley氏は「心血管への影響を詳細に調べた大規模な研究で、スリルを求める性格や実際にスリルを味わう行動が健康に与える影響を確認したものは、私の知る限りでは一つもない」と話している。

 Farley氏は、この数十年もの間、スリルを求めて行動する人たちを対象に研究を重ねてきた。これらの研究では、ネパールでエベレスト登山者を追いかけたり、中国やロシアで熱気球に乗って観察したりしたものもあった。しかし、こうした研究で健康上の問題が浮上したことは、ほとんどなかったという。

 そこで、Jacoby氏らの研究グループは、心臓の壁が肥厚し、心停止の主な原因ともなる肥大型心筋症を有しながら、スリルを求める愛好者でもある男女を対象とした調査データに着目した。この調査では、スリルを求める愛好者で不規則な心拍や不整脈のリスクが高い成人571人から、オンラインで得られた回答のデータが記録されていた。対象者の約40%には植込み型除細動器が植え込まれていた。

 対象者が経験していたスリリングな行為の種類は、ラフティングやバンジージャンプ、ラペリング、パラグライディング、スカイダイビングなど計8,000件を超えていた。しかし、対象者の約3分の1では、めまいや吐き気、動悸など軽度の症状がみられたが、スリリングな行為から1時間以内に失神や心停止などの重度の反応がみられたケースはわずか9件だった。このうち4件はジェットコースターの乗車後に起こっていた。

 Jacoby氏は「重度の心臓病を有する患者においてさえ、スリルを求める行動が健康上のリスクに関係することを支持するエビデンスはほとんどなかった。今回の研究では、1回当たりのスリリングな行為によるリスクは極めて低いことが示された」と説明している。

 なお、Jacoby氏によれば、過去10年間のジェットコースターの乗客の死亡例について調べた以前の研究では、心臓の問題を原因とした死亡例はかなり少なく、ほとんどが外傷によるものだったことが明らかにされている。また、Farley氏も自身の研究でスリリングな行為により健康上の問題が浮上したことはほとんどなかったと話す。

 ただし、Jacoby氏は、特に心臓病がある患者は、危険性が少しでもあるならスリリングな行為に及ぶ前に医師に相談すべきだと強調する。「この研究結果を知った人々が、こうした行為を気軽に捉えるようになるのは本意ではない」とした上で、「自分にとって適切な行動について、医師と話し合うきっかけとして活かしてほしい」と話している。

[2019年3月4日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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