にきび治療薬でうつ病リスクは上昇しない可能性

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HealthDay News

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 難治性のにきび(ざ瘡)治療薬であるisotretinoin(日本国内未承認、イソトレチノイン;商品名Accutane、アキュテイン)の安全性については、医師の間でも長年、議論の的とされている。今回、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部皮膚科准教授のBethanee Schlosser氏らが実施した研究で、isotretinoinの使用は成人のにきび患者におけるうつ病の独立したリスク因子ではない可能性が示された。研究の詳細は、米国皮膚科学会(AAD、3月1~5日、米ワシントンD.C.)で発表された。

 今回の研究では、米国中西部に在住し、2001~2017年ににきび診断された18~65歳の患者3万8,016人の医療記録を分析した。対象患者のうち1,087人は治療の一環としてisotretinoinを処方され、残りの3万6,929人は同薬を処方されていなかった。同薬の使用期間は平均5カ月であった。

 分析の結果、うつ病の発症率は、isotretinoinを使用しなかった患者群では4.81%だったのに対し、同薬を使用した患者群では3.77%とやや低いことが分かった。

 Schlosser氏によると、isotretinoinの使用とうつ病リスクの増大との関連を検討した研究では、これまで一致した見解は得られていない。同氏は「今回のにきび患者を対象に後ろ向きに解析した研究から、isotretinoinを使用していないにきび患者と比べて、同薬を使用しても、うつ病リスクの増大はみられないことが示された」と結論づけている。

 一方で、Schlosser氏は、にきび患者が皮膚科医とオープンなコミュニケーションを取り続けることが重要であることには変わりはないと付け加えている。また、同氏は「皮膚科医は、にきびの存在が患者の気分に及ぼしている影響や、これまでの病歴、精神面の健康についても患者に尋ねる必要がある。特に、isotretinoinのような全身療法を処方する場合は、有害事象がないかを常に注意深く観察する必要がある」と指摘している。

 さらに、Schlosser氏は、にきびの存在自体が、自己評価が低いことやうつ病を含む気分障害と関連する可能性が示されていると指摘する。「にきびは重症度が高いほど生活の質(QOL)や気分への影響も大きい」と同氏は述べ、isotretinoinを用いてにきびの症状を改善することで、逆にうつ病リスクを低減できる可能性もあるとしている。

 専門家の一人で、米ニュージャージー州で皮膚科を開業しているMarc Glashofer氏は、今回の結果に驚きはないと話す。同氏は「isotretinoinの使用と抑うつ症状や不安症状は関連することが過去の研究で示唆されているが、これらの因果関係を証明するデータはこれまで示されいない。このことは、にきび患者において、同薬の使用はうつ病の独立したリスク因子ではない可能性を示している」と付け加えている。

 さらに、子供がisotretinoinを使用することに不安を抱いている親には、「これらに明確な関連は示されていないことを理解し、データで裏づけされていないネット上の情報を真に受けないようにしてほしい」と助言している。また、「重症度の高いにきびに悩む子供から、人生に大きな変化をもたらす治療薬を使用する機会を奪うべきではない」と同氏は述べている。

[2019年3月4日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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