米カリフォルニア州の予防接種法厳格化による影響は?

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HealthDay News

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 米カリフォルニア州では2016年に予防接種法が厳格化され、個人的な信念(personal belief)を理由とした小児期の予防接種の免除が禁止された。しかし、一部の親はこの新たな法律の網をかいくぐるため、非倫理的な医師のもとに集まりつつある。こうした親たちの行動が、新たな麻疹(はしか)の爆発的な流行をもたらした可能性を示す報告書が、米疾病対策センター(CDC)が発行する「Morbidity and Mortality Weekly Report」3月1日号に発表された。

 この報告書は、2018年初頭に同州で発生した麻疹の流行について、同州サンタクララ郡公衆衛生局のGeorge Han氏らがまとめたもの。それによると、この時に報告されたワクチン未接種の患者6人の全例が親の意志で小児期の予防接種を受けていなかった。

 麻疹の大流行は、15歳の少年が渡英中に麻疹ウイルスに感染して帰国したことを発端に始まった。感染は、またたく間に学校やボーイスカウトのイベントを通して広がった。Han氏らは「この少年が法に従ってワクチンを接種していれば、麻疹が流行することはなかっただろう」と指摘する。

 親の個人的な信念を理由とした予防接種免除を禁止する法律は、「反ワクチン派」の親たちが子どもの予防接種を拒否したために、再び麻疹や百日咳が流行するようになったことを受けて制定された。ただ、カリフォルニア州でも、医師が判断すれば医学的な理由による免除は引き続き認められている。

 そのため、金銭と引き換えに虚偽の書類を医師に作成してもらい、子どもに予防接種を受けさせない反ワクチン派の親も存在するという。2018年10月には、カリフォルニア州で予防接種法が厳格化されてから2年間に医学的な理由で予防接種が免除された例が250%増加したとする報告書が「Pediatrics」に発表されている。

 こうした非倫理的な行動は麻疹の大流行をもたらした。Han氏らが地域の保健当局関係者に聞き取り調査したところ、ワクチン接種が禁忌ではないにもかかわらず、医学的な理由で接種が免除された児童が複数いることが分かった。また、大流行時に感染した小児のうち2人は、いずれも自宅から遠く離れた一人の医師によって、同じ医学的理由に基づき全てのワクチンについて接種が免除されていたことも明らかになった。

 今回の報告を受け、小児科医らからは、こうした行為に対する非難の声が上がっている。その一人で米コーエン小児医療センターのSophia Jan氏は「親の不安につけこんで儲けようとする医師がいることは受け入れ難い」と話す。

 米国ではかつて、麻疹、おたふく風邪、風疹の三種混合ワクチン(MMRワクチン)の普及を背景に、麻疹はほぼ撲滅されたと考えられていた。しかし、小児期の予防接種が自閉症などの発達障害に関連するという科学的な根拠のない考えが広がり、反ワクチン運動が活発化した。その後、反ワクチン感情が特に強いカリフォルニア州などいくつかの州で麻疹や百日咳が大流行した。

 専門家の一人で、米ノースウェル・ヘルス・ハンチントン病院のMichael Grosso氏は「CDCによると、麻疹の報告数は2017年には120人だったのが、翌年には372人となり、今年は既に10州から計159人が報告されている」と説明している。同氏は、今後もこのペースで増加すれば、今年の米国の麻疹罹患者数は約1,000人に達する可能性もあると指摘。麻疹ウイルスは感染力が強く、肺炎や脳炎といった合併症や死亡のリスクもあるとして警鐘を鳴らしている。

[2019年2月28日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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