糖尿病による超過死亡リスクは依然として高い、AHA報告

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HealthDay News

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 近年の治療の進歩にもかかわらず、糖尿病であることは、依然として全死亡や心血管疾患による超過死亡リスクの上昇をもたらしていることが、米コロラド大学医学部教授のSridharan Raghavan氏らの研究から明らかになった。詳細は「Journal of the American Heart Association」2月19日号に掲載された。

 これまでの研究で、糖尿病患者は、糖尿病のない患者に比べて心疾患や心不全、心筋梗塞、脳卒中といった心血管疾患の発症やこれらの疾患による死亡リスクが約2倍に上ることが示されている。最近では、心血管疾患リスクの低減を目指した治療が注目されているが、こうした治療を受けている患者を対象に、糖尿病に関連した死亡率を調査した研究はほとんど実施されていなかった。

 そこで、Raghavan氏らは今回、退役軍人医療システムで、2002~2014年の間にプライマリケアで治療を受けた約96万人の成人患者(うち糖尿病患者は約33万人)を対象に、後ろ向きに平均で8年間追跡した。

 その結果、近年では、糖尿病に関連した死亡は1980年代および1990年代よりも減少していた。一方、糖尿病であることは、全死亡率の16%の上昇や心血管疾患による死亡率の18%の上昇と関連しており、糖尿病は依然として死亡率に大きく影響していることが明らかになった。さらに、HbA1c値が6.0~6.9%にコントロールされている糖尿病患者では、年齢にかかわらず死亡率は低いことも分かった。

 Raghavan氏は「年齢だけでは情報として不十分であることは注目に値する。治療決定は患者の年齢だけに基づくものではなく、はるかに複雑なものだ」と述べている。その上で、同氏は、HbA1c値と死亡率との関係や、治療の指標としてのHbA1c値の位置づけは明らかになっていないが、医師は糖尿病患者のHbA1c値を注意深く観察する必要があるとしている。

 論文の付随論評を執筆した米テキサス大学健康科学センター循環器内科准教授のDavid Aguilar氏は、この研究は観察研究であり、対象者のほとんどが退役軍人の男性であるといった偏りがあることを指摘する。一方で、この研究は、糖尿病の治療は死亡リスクの低減につながることを示した新たなエビデンスだとし、「私たちは良い方向に向かっているが、同時に、血糖コントロールの重要性を改めて認識させられた。患者に忍容性がある場合には、ガイドラインに従ってHbA1c値を7%未満にコントロールする必要がある」と述べている。

 Aguilar氏は、新たに登場した糖尿病治療薬を用いて、心血管疾患リスクを低減させるのが最善の治療戦略だとしている。一方、Raghavan氏は、どの患者がどの程度HbA1c値をコントロールすれば死亡リスクを低減できるのかについては、今後さらなる研究が必要だと述べている。また、両氏によれば、死亡リスクを低減するには患者教育が重要であり、米国糖尿病協会(ADA)と米国心臓協会(AHA)は共同で、糖尿病と心血管疾患の関係について認知度向上を目指した啓発活動“Know Diabetes by Heart”を新たに開始しているという。

 調査会社のハリス・ポールが最近実施した調査によると、45歳以上の2型糖尿病患者では、心疾患や脳卒中のリスクを認識している患者は半数にとどまっていた。なお、米国では2600万人の成人が糖尿病と診断されており、9200万人が糖尿病前症であるとされている。

 Raghavan氏は「喫煙やコレステロール、高血圧などの心血管リスク因子を管理することで、糖尿病に関連した死亡リスクを大幅に低減できる」と助言している。また、Aguilar氏は「糖尿病と心血管疾患の関係や、運動習慣や適正体重の維持が心疾患リスクの低減にいかに重要であるかについて、医師は患者ともっと話し合う必要がある」と述べている。

[2019年2月20日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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