病室のシンクは危険な細菌の温床か、米研究

提供元:
HealthDay News

病室のシンクは危険な細菌の温床か、米研究のイメージ

 病室内のトイレの近くに設置されたシンク(流し台)には、危険な細菌が潜んでいる可能性があることが、米ウィスコンシン医科大学のBlake Buchan氏らの研究で明らかになった。研究の詳細は「American Journal of Infection Control」1月号に掲載された。

 Buchan氏らは今回、ウィスコンシン州にある病院で、集中治療室(ICU)内のトイレ付近あるいは病室の入り口付近に設置されたシンクの排水口から標本を採取。カルバペネマーゼを産生する肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae carbapenemase;KPC)と呼ばれる細菌の有無を調べる検査を実施した。なお、KPCは肺炎や血液感染、創傷感染、手術部位感染などの医療関連感染症の原因となる細菌の一種として知られている。

 調査の結果、トイレ近くのシンクでは87%にKPCが検出されたのに対し、病室の入り口付近のシンクでは22%にとどまることが分かった。また、病室の入り口付近に設置されたシンクからKPCが検出された病室の5分の4では、トイレ付近のシンクにもKPCが検出されたことから、交差汚染源となっている可能性が示唆されたという。

 専門家の一人で、米国感染管理・疫学専門家協会(APIC)会長のKaren Hoffmann氏は「今回の研究結果は、病院内の交差汚染の可能性があるエリアについては常に注意を払う必要があることを示している」と述べている。また、「環境リスクについて深く理解し続けることは、患者の安全を守る上できわめて重要であり、細菌がどのように予想外の場所に潜んでいるのかを示す新たな事例となる」と同氏は説明している。

 KPCは抗菌薬に耐性を獲得し続けており、最近ではカルバペネムと呼ばれる抗生物質に対しても耐性を獲得していることが報告されている。Buchan氏らは「今回の研究結果の妥当性が確認されれば、感染制御に大きな影響を与える可能性がある」と述べている。

 また、Buchan氏らは「トイレの隣にあるシンクが実際にKPCの温床であるならば、医療従事者や患者間の感染リスクを抑えるため、手指衛生やシンクの消毒手順を改良するなど、追加的な措置が必要になると考えられる」と述べている。一方、汚染がどのように発生するのかは明らかになっていないとして、「トイレとシンクで共有しているパイプの中で、細菌が粘性の膜状に繁殖している可能性があることや、トイレの水を流す際に汚染された水滴がシンクの排水口に達している可能性も考えられる」と同氏らは付け加えている。

[2019年2月7日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ