新プログラムで入院患者の睡眠改善に成功、米シカゴ大

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HealthDay News

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 入院患者の睡眠の質を改善することは、1800年代のフローレンス・ナイチンゲールの時代からの課題とされている。米シカゴ大学内科教授のVineet Arora氏らは今回、夜間のバイタルチェックや投薬を避けるための電子カルテを介した注意喚起と医療スタッフへの教育を組み合わせた新しいプログラムを考案。それらの対策を講じたところ、ケアの質を損なうことなく、入院患者の睡眠を妨げる頻度を減らすことに成功したと、「Journal of Hospital Medicine」1月号に発表した。

 Arora氏らが実施した以前の研究では、入院患者は、短期間でも睡眠不足になると血圧や血糖値が上昇することが示されている。また、睡眠不足になった入院患者のせん妄や再入院率に注目した研究も行われている。さらに、メディケア受給者を対象とした調査では、夜間は自分の病室が静かだと回答した患者は62%に過ぎなかったことが報告されているという。

 今回の研究は、2つの18室を擁する一般内科ユニットで実施された。約1,100人の入院患者には、標準的なユニットあるいはSIESTA(Sleep for Inpatients: Empowering Staff to Act)と名付けられた入院患者の睡眠を改善する対策を講じた強化ユニットのいずれかに入院してもらった。SIESTAユニットでは、看護師が患者の睡眠改善に関する指導を受けたが、標準的な病棟ではこうした指導は行わなかった。また、SIESTAユニットでは、看護師は、患者の電子カルテを介して、不要な夜間のバイタルチェックや投薬を避けるように促された。

 その結果、いずれの病室でも、入院患者の睡眠を妨げないように夜間のバイタルチェックや投薬を避ける回数は増えたが、その変化はSIESTAユニットでより著明であった。例えば、SIESTAを実施する6カ月前に比べて、実施後6カ月の時点では、4時間ごとのバイタルチェックが不要と判断した割合は4%から34%に上昇した。一方、睡眠を促すための抗凝固薬による静脈血栓塞栓症(VTE)予防を実施する割合は15%から42%に上昇した。

 また、SIESTAユニットでは、夜間の入室回数が44%減少し、標準ユニットに比べて、夜間のバイタルチェックや投薬によって睡眠が妨げられたと報告する患者の割合も低かった。

 この研究結果を受けて、米国看護師協会(ANA)看護実践・労働環境部門長のSeun Ross氏は「全ての病院や臨床医たちは、用心のために夜間も一定の間隔で患者のチェックを行っていると思われる。しかし、臨床的な判断と患者との会話に基づけば、夜間の睡眠を妨げる頻度は減らすことができる。こうした方法は、患者の病状が安定していれば実践可能だ」と述べている。

 AroraとRossの両氏は、入院患者の睡眠を改善するには看護師の役割が大きいとすることで意見が一致しており、「多くの病院の看護師は、患者の睡眠を妨げないようにする対策プログラムを実践できるだろう」と述べている。一方で、両氏は、入院患者の睡眠改善は、看護師だけの問題ではなく、医師と共同で取り組んでいくべき問題だと指摘している。

[2019年1月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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